研究課題/領域番号 |
17K09999
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山田 和徳 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (90397224)
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研究分担者 |
塚 正彦 金沢大学, 医学系, 教授 (00272956)
伊藤 清亮 金沢大学, 大学病院, その他 (10467110)
川野 充弘 金沢大学, 附属病院, 講師 (20361983)
水島 伊知郎 金沢大学, 附属病院, 医員 (50645124)
原 怜史 金沢大学, 医学系, 助教 (80749820)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 / 自然免疫 / ガレクチン3 / Toll-like receptor |
研究実績の概要 |
IgG4関連疾患(IgG4-RD)は、病変組織へのIgG4陽性細胞浸潤および線維化を主な特徴とする原因不明の疾患である。申請者らは、IgG4関連腎臓病患者の腎組織およびIgG4-RDのモデルマウスであるLAT Y136F knock-in miceを用いた解析で、IgG4-RDの病変形成にa proliferation inducing ligand(APRIL)およびその産生細胞であるマクロファージが関与していることを報告した。マクロファージは自然免疫を担う細胞のひとつであるが、IgG4-RDにおける自然免疫の関与についてはよく知られていない。 そこで、患者の生検組織、剖検臓器、モデルマウスを用い臓器横断的に、①ガレクチン(Gal)を介した免疫異常の解明、②Toll-like receptor(TLR)を介した免疫異常の解明を行い、IgG4-RDにおける自然免疫の役割の解明と新規治療ターゲットの探索を行うことを本研究の目的とする。 平成29年度は、IgG4-RD患者の唾液腺組織を用いて、Gal-3の発現を評価した。Gal-3は炎症部位に発現していた。次に、連続切片を用いて、マクロファージ(CD68)およびM2マクロファージ(CD163)との共発現について評価したところ、Gal-3とCD68陽性細胞およびCD163陽性細胞と共発現していることが確認された。以上より、Gal-3はマクロファージより産生されている可能性が示唆された。 TLRに関しては、LAT Y136F knock-in miceの腎臓および肺組織を用いてTLR-9の発現を免疫染色法を用いて評価した。その結果、炎症部位に一致してTLR-9の発現を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ga-3に関して、評価できた組織がIgG4-RD患者においては唾液腺のみである。また血清Gal-3濃度の評価がまだできていないため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
Gal-3に関しては、IgG4-RD患者の唾液腺以外の組織(涙腺、唾液腺、膵臓等)を用いて、発現を評価する。さらに、IgG4-RD患者およびLAT Y136F knock-in micにおける血清Gal-3濃度についてELISA法を用いて評価する。また、LAT Y136F knock-in micにおいて、ステロイド投与前後の標本を用いて、Gal-3発現の変化について評価する予定である。 TLRについては、IgG4-RDおよびLAT Y136F knock-in mic において、TLR-9以外のTLRの発現を評価する。特に、IgG4-RDとの関連が指摘されているTLR-7について評価を進める予定である。また、LAT Y136F knock-in micに各種TLR刺激薬を投与し、病態の変化についての評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ガレクチン(Gal)-3の発現の評価に関して、IgG4関連疾患患者の唾液腺以外の組織およびLat Y136F knock-in miceの組織での検討を次年度に予定した。また、血清Gal-3濃度の測定を次年度に行うことにした。以上より、免疫染色関連の抗体およびELISAキットの購入を次年度としたため、差額が生じた。
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