研究課題
平成29年度は、SLE患者143名の末梢血免疫フェノタイピングにより、T細胞フェノタイプの差異による3群の免疫学的亜集団の存在を明らかにし、このなかで濾胞性ヘルパーT (Tfh)細胞がドミナントに活性化する群が既存の免疫抑制療法に抵抗性であることを見出した。本年度は、それらの病的細胞の誘導機構とSLE患者末梢血T細胞の活性化との関連を検討した。その結果、SLE患者末梢血では、Tfh細胞のなかでもCD4+CXCR5+CXCR3+活性化Tfh/Th1様細胞が増加し、in vitroの実験では、IL-12刺激で誘導されるSTAT1とSTAT4がBCL6とTBX21遺伝子座へ直接結合することで同遺伝子座における抑制型ヒストンマーカーH3K4me27を抑制してTfh/Th1様細胞が誘導されることを報告した。さらに、SLE患者では血清IL-12レベルおよびメモリーT細胞上のIL-12受容体の発現が増加し、リン酸化STAT1、リン酸化STAT4およびT-betの発現は非Tfh/Th1様細胞より活性化Tfh/Th1様細胞で有意に高かった。これらの結果は、SLE患者におけるTfh/Th1様細胞の分化・活性化に関与する潜在的なメカニズムを明らかにするとともに、Tfh/Th1様細胞がSLEに対する新たな治療標的となる可能性を示唆した。最終年度は、病的Tfh細胞の分化・活性化を誘導する分子標的薬を用いたヘルパーT細胞の形質転換による免疫異常の是正の可能性を探索したい。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画の通り、順調に進行している。
最終年度は、病的Tfh細胞の分化・活性化を誘導する分子標的薬を用いたヘルパーT細胞の形質転換による免疫異常の是正の可能性を探索したい。
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Annals of Rheumatic Diseases
巻: 88 ページ: 1354-1361
10.1136/annrheumdis-2017-212652