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2019 年度 実績報告書

全身性エリテマトーデスにおけるヘルパーT細胞ダイナミズムの解明と新規治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K10010
研究機関産業医科大学

研究代表者

中山田 真吾  産業医科大学, 医学部, 講師 (60389426)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード全身性エリテマトーデス / 免疫フェノタイプ / 濾胞性ヘルパーT細胞 / JAK阻害薬
研究実績の概要

本研究では、SLE患者の末梢血免疫フェノタイピングにより、T細胞フェノタイプの差異による3群の免疫学的亜集団が存在することを明らかにし、このなかで濾胞性ヘルパーT (Tfh)細胞がドミナントに活性化する群が既存の免疫抑制療法に抵抗性であることをを示した(平成29年度)。平成30年度には、SLE患者で活性化しているTfh細胞の表現型と誘導機構を解析し、IL-12刺激で誘導されるSTAT1とSTAT4の活性化がヒストン蛋白修飾を介してTfh/Th1様細胞を誘導することを見出した。さらに、SLE患者では血清IL-12レベルが増加し、活性化Tfh/Th1様細胞においてSTAT1/STAT4のリン酸化が亢進しており、IL-12-JAK-STAT経路がSLEに対する新たな治療標的となると考えられた。
本年度は、病的Tfh細胞の分化・活性化を誘導する分子標的薬を用いたヘルパーT細胞の形質転換による免疫異常の是正の可能性を探索した。これまでの結果から、SLE患者ではIL-12で誘導されるJAK-STAT経路の阻害がTfh細胞の活性化を抑制することが想定され、特にIL-12はIL-12受容体に結合するJAK2、TYK2の活性化を誘導することから、今回JAK阻害薬に着目して検討を行った。その結果、in vitroでの検討において、IL-12で誘導されるTfh/Th1細胞様の細胞形質がTYK2阻害薬の添加により強く抑制され、TYK2阻害薬がTfh細胞に対する特異的な阻害作用を示す可能性が示唆された。現在、SLEに対してJAK2阻害薬バリシチニブの第2相臨床試験が進行中であるが、今回の結果から、TYK2阻害薬がTfh細胞を抑制することで治療抵抗性SLEに対する有力な分子標的治療薬となりうると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Baricitinib for the treatment of rheumatoid arthritis and systemic lupus erythematosus: a 2019 update.2019

    • 著者名/発表者名
      Kubo S, Nakayamada S, Tanaka Y
    • 雑誌名

      Expert Rev Clin Immunol

      巻: 14 ページ: 693-700

    • DOI

      10.1080/1744666X.2019.1608821

    • 査読あり
  • [雑誌論文] JAK阻害薬2019

    • 著者名/発表者名
      中山田真吾, 田中良哉
    • 雑誌名

      薬局

      巻: 70 ページ: 1143-1149

  • [雑誌論文] 全身性エリテマトーデス2019

    • 著者名/発表者名
      中山田真吾, 田中良哉
    • 雑誌名

      炎症と免疫

      巻: 27 ページ: 305-309

  • [雑誌論文] SLEに対するJAK阻害療法2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 友梨恵, 中山田真吾,田中良哉
    • 雑誌名

      SLEに対するJAK阻害療法

      巻: 62 ページ: 266-272

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公開日: 2021-01-27  

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