研究課題/領域番号 |
17K10012
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
松宮 朋穂 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30344592)
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研究分担者 |
姫野 俵太 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80208785)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細菌感染症 / 自然免疫 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
今年度は、細菌特異的RNAによる自然免疫活性能を動物モデルで検討した。その結果、細菌特異的RNAは血中のI型インターフェロンや炎症性サイトカイン濃度を上昇させた。 細菌特異的RNA投与後マウスの各組織所見はエンドトキシン投与群のものと似かよっていた。なお、前年度実施の実験から、エンドトキシン中和剤で前処理した樹状細胞でも細菌特異的RNAによるサイトカイン誘導作用を認めた。これらから、これまで申請者らが観察してきた作用は細菌特異的RNA特異的なものであると考えられた。 細菌特異的RNAは電気泳動法で分離した後に精製しており、当初、残留エンドトキシンは無視できると考えていた。しかし、RNA溶液中に微量エンドトキシンが混入している可能性は否定できない。そこで、エンドトキシン受容体であるToll様受容体4欠損マウス由来の骨髄細胞を用いて、これまでと同様の実験を実施したところ、エンドトキシン誘導性サイトカインの産生は認められなかったが、細菌特異的RNAによるサイトカインの産生は抑制されなかった。 核酸に混入したエンドトキシンの除去法として、界面活性剤を用いた精製法や、塩化リチウムを用いたRNA精製法が知られている。申請者は、幾つかの方法を用いて細菌特異的RNA中の微量エンドトキシンの除去を試みた。基礎検討として、ヒト細胞でこれまで採取したRNA(エンドトキシンの混入がないと証明されているRNA)溶液中にエンドトキシンを添加したものを各種方法で精製した後、エンドトキシン検出試薬を用いて微量エンドトキシンの検出を行った。その結果、界面活性剤を用いた方法を応用することで、RNA溶液中のエンドトキシンが検出限界以下(生物学的活性を認めない量)までになることが判明した。そこで、精製後の細菌特異的RNAを用いて骨髄由来樹状細胞を処理したところ、前年度に観察した結果と同様、サイトカイン誘導能を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitroの研究である程度の成果が得られたので、in vivoの実験を実施したところ、細菌特異的RNA中の微量エンドトキシンが問題となることが判明した。今後の研究実施に際し、この問題を解決する必要があったが、この検討は当初の研究計画にはない項目であった。基礎検討から開始したため、本課題の進捗状況はやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
検討項目が増えたが、研究計画自体の変更をする必要はないと考える。次年度以降は技術補佐員に実験へ参画してもらい、今年度新たに判明した問題点を含め検討を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の実施がやや遅れていることから、今年度購入予定の消耗品のいくつかは、次年度以降の購入予定となり、残額が生じた。次年度以降は、申請者が負傷したことにより、実施が困難な実験について技術補佐員による実験補助を依頼する予定であることから、研究計画に記載している物品の購入に加え、人件費へ充当する予定である。
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