今後の研究の推進方策 |
酸化鉄ナノ粒子にPspA-Argを結合させたナノ粒子ワクチンNPV-PspAをマウス鼻腔内に接種し、①粘膜免疫が誘導される条件、②ワクチンの鼻腔内分布および中枢神経移行、③粘膜および全身性の抗体産生様式などについての基礎検討を行う。次いで、④NPV-PspAによる免疫成立後に肺炎球菌を経鼻感染させる系で肺炎球菌感染に対する免疫応答を解析し、NPV-PspAの有用性を明らかにする。 ① 酸化鉄ナノ粒子が単独でアジュバントとして機能するかを、鼻腔内IgA産生により評価する。不十分である場合はToll様受容体やC型レクチン受容体のリガンドなどを追加することを考慮する。 ② 鼻腔投与したNPV-PspAの分布を小動物用MRIで画像化し、詳細な臓器分布についてはNPV-PspAを蛍光標識して病理学的に解析する。臭球および脳内の鉄量をinductively coupled plasma (ICP)法により定量することにより、NPV-PspAの中枢神経移行の有無を明らかにする。 ③ 粘膜局所および全身性のPspA特異的IgM, IgG1, IgG2a, IgG2b, IgG3, IgA抗体価の測定により、抗体産生様式を明らかにする。 ④ NPV-PspAによる免疫が成立したマウスに致死量の肺炎球菌を感染させ、人道的エンドポイントによる生存率、および鼻腔洗浄液、肺胞洗浄液、鼻腔組織、肺組織、血中における肺炎球菌の生菌数により防御効果を明らかにする。また、肺炎球菌感染後、好中球数、各種サイトカイン・ケモカイン産生量を測定するともに、誘導されるTヘルパー細胞のタイプや鼻腔粘膜でIgAを産生するB細胞を同定する。以上を総合し、NPV-PspAによる粘膜免疫応答メカニズムを明らかにする。
|