本研究では、肺炎球菌のすべての血清型の菌に存在するpneumococcal surface protein A(PspA)を酸化鉄ナノ粒子(iron oxide nanoparticle: IONP)に独自の方法で結合させることにより、PspA-IONP を作成した。PspA-IONPのマウス気管内への投与により、粘膜および全身でPspA単独よりも高いIgG産生が認められ、粘膜ではPspA単独では起こらないIgAの産生を認めた。免疫後のマウスに肺炎球菌を感染させると、肺や脳での菌の増殖が抑制され、生存率が著しく改善したことから、PspA-IONPが粘膜ワクチンとして有用であることが示唆された。
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