研究課題
あるエピトープ内のウイルス変異は、HLA分子とエピトープの結合およびT細胞受容体(TCR)の認識能には影響を与えてなくても、HIV-1感染細胞からの抗原提示に影響することが知られている。そこで我々は、強いHIV-1増殖抑制に相関する10種類エピトープのうち、5種類のエピトープ内で高頻度に見られる7種類の変異をそれぞれ持つ変異ウイルスを作製し、変異ウイルス感染細胞に対する5種類のエピトープ特異的CTLの認識能をIFN-g細胞内染色法で解析した。その結果、いくつかのCTLはwild-typeウイルス感染細胞に対する認識能よりも変異ウイルス感染細胞に対する認識能のほうが低かったものの、5種類すべてのCTLが変異ウイルス感染細胞を十分に認識していた。以上の結果から、これらの変異が及ぼす感染細胞からの抗原提示への影響はそれほど大きくないため、CTLが変異ウイルス感染細胞を十分に認識できると考えられた。10種類のエピトープ特異的CTLが日本人感染者に広まっている変異ウイルスをどの程度認識できるか評価するため、昨年度のELISPOTアッセイ法の結果の中で60%以上の感染者が認識していた変異エピトープ、ならびに細胞内染色法の結果の中でCTL lineが10 nMのペプチド濃度でwild-typeの認識に対して30%以上認識できている変異エピトープからCTLが認識するウイルスの頻度を解析した。その結果、10種類のエピトープ特異的CTLは、日本人感染者に広まっている84.1%から98.8%のウイルスを認識していた。以上の結果から、これらのCTLは感染者に広まっているウイルスを幅広く認識できることが明らかとなった。
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Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
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http://kumamoto-u-jrchri.jp/takiguchi/default.html