研究課題/領域番号 |
17K10022
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
森 剛志 宮崎大学, 医学部, 助教 (40426565)
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研究分担者 |
佐藤 克也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70398147)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | QUIC法 / クロイツフェルト・ヤコブ病 |
研究実績の概要 |
孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病を代表とするプリオン病には病理像の異なる様々なタイプ(病理型)が存在し、それにより予後が異なるが、生前の診断や鑑別が困難な例も多い。本研究の目的は、プリオン病発症に関与する異常型プリオン蛋白(PrP)を早期検出可能にした試験管内異常型プリオン蛋白増幅法(Real Time Quaking-Induced Conversion: RT-QUIC法)をさらに改良させることで、プリオン病のタイプを早期に鑑別できる手法を確立することである。本法は基質としてリコンビナントPrP(recPrP)を要するが、RT-QUIC法はこのrecPrPの配列に依存すると考えられている。そこで、どの配列が重要なのか、またそれはタイプ毎に異なるのかを確かめる。 平成29年度は、プリオン病タイプ間(MM1とMM2)におけるRT-QUIC反応感受性を制御している重要配列を同定するために複数のPrPペプチドを用いて競合阻害実験を行った。従来のRT-QUIC 反応液にPrPペプチドを単一もしくは2種類加えて、上記タイプの患者脳乳剤試料を用いて凝集反応を観た。単一のPrPペプチドを加えることで、MM1型およびMM2視床型脳乳剤のQUIC反応に遅延効果を示すペプチドが得られた。MM2皮質型脳乳剤においては大きな遅延効果は得られなかった。効果を示したペプチドについて2種類同時に加えてQUIC反応を試みたところ、MM2視床型において遅延効果が観られた。しかしながらその差はわずかであることから、今後は効果のあったペプチド3種類加えたQUICを試みる。また、単一では効果の得られなかったペプチドについても2種類混合QUICを試みる。また、上記に並行して効果を示した配列を欠失させたrecPrPを構築し、RT-QUIC法の基質として用いる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単一ペプチドを用いた競合阻害実験は、全て行い、それにより、QUIC反応を遅延させるペプチドが得られた。2種類のペプチドを同時に加えた2種混合QUICおよび3種混合QUICは現在進行させている。また、効果を示した配列を欠失させたrecPrPは現在作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
2種混合QUICおよび3種混合QUICによる競合阻害実験を進める。また、効果を示した配列を欠失させたrecPrPを構築し、RT-QUIC法の基質として用いる。構築したrecPrPについては2次構造の相違を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)今年度は主にペプチドを用いた実験を遂行した。今年度購入予定であったNi-NTAスーパーフローアガロースはRT-QUIC法に用いるリコンビナント蛋白の精製に有用である。現在、リコンビナント蛋白のデザイン作成およびリコンビナント発現遺伝子の構築を進めている。そのため、今後Ni-NTAスーパーフローアガロースは必要となるため、次年度購入することに変更した。
(使用計画)現在、様々な配列のリコンビナント蛋白を設計、およびリコンビナント発現遺伝子を構築している。これらリコンビナント蛋白の精製にNi-NTAスーパーフローアガロースを用いる。また、精製したリコンビナント蛋白については来年度以降の実験遂行のために使用する。
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