研究実績の概要 |
肺Mycobacterium avium complex(MAC)症患者の気管支肺胞洗浄(BAL)中のヒト抗菌ペプチドcathelicidin/LL-37がMAC症治療の治療効果を予測するバイオマーカーとなることを明らかにするために、これまでに8例にBALを行っているが、平成29年度に新たに肺MAC症疑い例15例に同意を得てBALを施行した。7例にM. aviumを検出し、6例に治療を開始している。これまでに合計14例が解析可能な症例としてエントリーされた。 臨床分離株22株(M. avium 12株、M. intracellulare 10株)に対するLL-37の最小発育阻止濃度(MIC)は20μg/ml以上と、LL-37自体の抗菌活性は弱かった。M. avium GTC603標準株をLL-37(0, 0.2, 2, 20μg/ml)存在下に96時間培養した後の菌量(colony-forming unit)を測定し、20μg/mlで有意にCFUの減少を認めた。LL-37 (0, 1, 2.5, 5, 10, 20 μg/ml ) 存在下のクラリスロマイシン(CAM)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、ストレプトマイシン(SM)、モキシフロキサシン(MFLX)のMIC50/90は、CAMではLL-37 2.5μg/ml、RFPは LL-37 5μg/ml 、EBはLL-37 1μg/ml、SMはLL-37 5μg/ml、MFLXはLL-37 5μg/mlから有意に低下し、いずれの抗菌薬に対してもLL-37は抗菌活性を増強させた。
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