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2019 年度 実施状況報告書

肺MAC症の治療効果を予測するバイオマーカーの探究

研究課題

研究課題/領域番号 17K10023
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

伊藤 穣  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80362482)

研究分担者 新實 彰男  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30252513)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード非結核性抗酸菌 / Mycobacterium avium / LL-37
研究実績の概要

肺Mycobacterium avium complex(MAC)症患者の気管支肺胞洗浄(BAL)中のヒト抗菌ペプチドcathelicidin/LL-37がMAC症治療の治療効果を予測するバイオマーカーとなることを明らかにするために、これまでに8例にBALを行っていたが、平成29年度から38例の肺MAC症疑い例にBALを施行した。M. aviumを15例、M. intracellulareを7例、M. abcessus+M. intracellulare、M. abscessus、M. kansasii、M. talmoniaeをそれぞれ1例ずつの計28例の非結核性抗酸菌症を診断した。このうちM. avium症9例とM. intracellulare症1例に1年以上の抗菌治療を行い、12例が治療中である。現時点で臨床評価が可能な18例のうち、13例が細菌学的に排菌陰性もしくは症状消失した。5例が排菌持続もしくは再排菌持続している。
臨床分離株22株M. avium 12株、M. intracellulare 10株)に対するLL-37の最小発育阻止濃度(MIC)は20μg/ml以上と、LL-37自体の抗菌活性は弱かった。M. avium GTC603標準株をLL-37存在下に96時間培養した後の菌量を測定し、20μg/mlで有意に減少を認めた。LL-37存在下のクラリスロマイシン(CAM)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、ストレプトマイシン(SM)、モキシフロキサシン(MFLX)のMIC50/90は、CAMではLL-37 2.5μg/ml、RFPは LL-37 5μg/ml 、EBはLL-37 1μg/ml、SMはLL-37 5μg/ml、MFLXはLL-37 5μg/mlから有意に低下し、いずれの抗菌薬に対してもLL-37は抗菌活性を増強させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29‐31年度に38例の患者に気管支肺胞洗浄を行ったが、MAC菌が培養されなかった症例が多かった。30例がエントリーされ、目標症例数の23例を超えたが、平成31年度(令和1年度)末までに治療評価まで行えたのは18例で目標症例数に達しなかった。LL-37の抗菌活性の検討については、現在論文作成中である。
新たに採取したBALからマクロファージや好中球を分離し、M. avium GTC603標準株を用いて、LL-37の発現を試みている

今後の研究の推進方策

現在治療中の12例を1年間治療して、臨床評価を行い、LL-37 との比較を行う。新たに採取したBALからマクロファージや好中球を分離し、M. avium GTC603標準株を用いて、LL-37の発現細胞の確認を行う。

次年度使用額が生じた理由

症例集積が少なかったため、LL-37の測定を行わなかった。症例が集まり次第、ELISAキットを購入し、LL-37の測定を行う。

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公開日: 2021-01-27  

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