研究実績の概要 |
R4年度までにおいて、免疫抑制治療下の結核既往群20名、非結核暴露群15名の結核特異抗原を添加し16~20時間培養させた末梢血T細胞のマスサイトメトリーデータの解析を行った。結果として、CD3+T細胞中のIFN-γ high細胞陽性率は、非結核暴露群0.18%、結核既往群0.50%で有意差を認め(P=0.040)結核既往群で増加し、TSPOT値とIFN-γ+/CD3+T細 胞陽性細胞率は正の相関を認めた。結核既往の診断をROCカーブを用いて解析を行うと、TSPOT-TBは特異度100%、感度50%に対し、CD3+T細胞中のIFN-γ+/CD3+T 細胞陽性細胞率(カットオフ値0.12%)では、特異度87%、感度55%、IFN-γ high+/CD3+T細胞陽性細胞率(カットオフ値0.03%)で、特異度80%、感度65%だった。 結核既往群において特異的に増加している結核特異抗原IFN-γ産生T細胞群の探索のため、IFN-γ陽性細胞分画のみを高次元解析を行った。Self organizing map によるクラスタリングにてIFN-γ陽性T細胞は10のクラスター(Cluster A~J)に分類され、そのうち、IFNγを高発現するものが三群みとめた(Cluster, C, E, H)。この三群の中でGM-CSFを同時に高発現するCD4+CD8+のCluster Cは、非結核暴露群でも割合が多く、非特異的であった。一方GM-CSF低値でIL-2を高発現するCD4+のCluster E、およびCD161,CD25を表面抗原として発現するCD4+のCluster Hは、有意に結核既往群IGRA陽性群で上昇していた。これらの細胞群が免疫抑制治療患者における結核暴露の特異的診断に有用である可能性が示唆された。 以上の結果を論文にまとめ、Figureを作成し、学会報告を行なった。
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