研究課題/領域番号 |
17K10030
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
大野 秀明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20325640)
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研究分担者 |
宮崎 義継 国立感染症研究所, 真菌部, 部長 (00311861)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 感染防御 / 感染病態 / 自然免疫 / 高病原性クリプトコックス症 |
研究実績の概要 |
昨年度は進捗に遅れが認められたため、それまでの実績について記載する。 ・自然免疫回避が高病原性クリプトコックス症の感染病態解析の本態か?ならびにIFN-gがCryptococcus gattii株貪食に与える影響は? 我々の現在までの研究結果では、高病原性であるC. gattii株のR265株、JP02株肺感染マウスにおける肺局所の乏しい炎症反応が観察され、R265株での検討ではマクロファージによる貪食能がC. neoformans H99株に比較し低下している事象が観察された。さらに検討をすすめ、JP02株でもR265株と同様にJ774細胞による貪食率は5%以下と低率であったことがわかった。また、H99株ではIFN-gの存在下では貪食率が3%程度から22%程度へ上昇したのに対し、C. gattii株ではR265株、JP02株ともにIFN-g添加による貪食率への影響はほとんど認められなかった。 ・Cryptococcus gattii脳髄膜炎モデルにおけるIFN-gの感染防御効果の検討 マウスクリプトコックス髄膜炎モデルを用いた各種検討を行った。この髄膜炎モデルにおいて、C. neoformans H99株を接種したマウスに、INF-gを投与すると、生存期間の延長が認められた。一方、C. gattii R265株を接種したマウスに、INF-gを投与しても、非投与マウスと比較し生存期間の延長は認められなかった。さらに、C. gattii JP02株を接種したマウスでは、若干ではあるが生存期間が延長した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究以外の他の業務が立て込んだため、進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様に、研究方向性は同じである。これまでから、C. neoformans感染モデルとC. gattii感染モデルでの肺病理組織像の違いは、マクロファージの貪食像ならびにそれから放出される炎症性サイトカインの相違、ならびにIFN-gに対する反応性の違いが大きく関与していることが推定された。 今後の方針として、引き続きIFN-gなど炎症性サイトカインが高病原性クリプトコックス症の感染防御に与える影響の解析を行う。C. neoformans 感染症においてはIFN-gが感染防御に重要な役割を果たしていることが知られ、感染マウスにIFN-g を投与すると臓器菌数の減少などが観察されるが、C. gattii感染症に対する効果はまだ確立していない。さらに、高病原性クリプトコックス症、とくに難治性とされている脳髄膜炎においてIFN-gが感染病態改善に与える影響を検討し、IDSAガイドラインでも評価が定まっていない中枢神経系C. gattii感染症の治療におけるIFN-gの位置づけを検証する。さらにIL-12、TNF-αなど他のサイトカインの感染防御に果たす役割についても検証する。 現在までにクリプトコックス脳髄膜炎モデルの作成を試みている。H99株、R265株、JP02株を経頭蓋的にマウスに接種し、生存率、病理組織学的検討を行った。これらの株を接種したマウスは接種後7日目から死亡する個体が観察され、14日-21日後までに約80-90%が死亡し、病理組織学的検討では、いずれも脳髄膜炎に矛盾しない病理像が観察された。これらの結果から、今後の検討に適切なマウスモデルであると考えられた。 今後は本モデルを使用し、IFN-g投与の有無によるマウスモデルの生存率の検討や、臓器菌数の検討、ならびに引き続きJ774での貪食によるTNF-αなど他の炎症性サイトカインの発現について検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は研究が予定通りに進捗せず、研究に使用する消耗品等の購入があまりなかったこと、国内の学会出席が業務の都合で予定通りにできなかったことから旅費が抑えられたこと、また人件費も予定より少なくてすんだことが原因と考える。次年度は引き続き研究に伴い消耗品購入が増加することが予想され、学会参加も予定通り参加できると考えられることから、計画に沿って支出できるものと考えている。
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