結核菌を代表とする抗酸菌の細胞壁には、リポアラビノマンナン(LAM)と呼ばれる糖脂質が存在している。特に、結核菌などのManLAMは食胞の成熟を阻害することが知られているが、その詳細な分子機構はよく分かっていない。研究代表者は、ManLAMがLacCerのクラスター形成に伴うスフィンゴ脂質代謝を阻害し、抗酸菌による細胞内寄生の原因となっているのではないかという仮説を立て、研究を行った。その結果、病原性抗酸菌はManLAMを利用して、LacCerのリピドラフトに存在するスフィンゴ脂質を介した生理活性脂質の産生を抑制して、食胞とリソソームの融合を阻害していることが分かった。
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