研究課題/領域番号 |
17K10032
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
斧 康雄 帝京大学, 医学部, 教授 (10177272)
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研究分担者 |
西田 智 帝京大学, 医学部, 助教 (10409386)
永川 茂 帝京大学, 医学部, 講師 (50266300)
佐藤 義則 帝京大学, 医学部, 助教 (90455402)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アシネトバクター・バウマニ / 好中球 / マスト細胞 / 脂肪細胞 / リポ多糖体(LPS) / バイオフィルム / 好中球細胞外トラップ / 感染モデル |
研究実績の概要 |
薬剤耐性菌であるアシネトバクター・バウマニ(A. baumannii )の病原性について以下を学会や論文発表した。 アシネトバクター・バウマニ(A. baumannii)とマスト細胞LAD2を共培養するとLAD2はTNF-α, IL-8を放出した。本菌のマスト細胞への接着はCD32を介することを報告した(Kikuchi-Ueda T, Immunobiology)。本菌由来リポ多糖体の脂肪細胞機能に及ぼす影響を解析し, 脂肪細胞は炎症サイトカインの産生や好中球の集積を促進するように作用することを報告した(Unno Y, Mediators of Inflammation)。本菌のバイオフィルム形成に及ぼす抗菌薬のsub-MIC効果について検討し,コリスチンが増強することを報告した(Sato Y, PLOS ONE)。A. baumanniiの新規病原性として, 好中球の感染防御機構である neutrophil extracellular taps (NETs) を好中球の接着を本菌が抑制することで阻害することを報告した(Kamoshida G, Frontiers in Immunology)。昆虫感染モデルを用いた検討で,A. baumannii アウトブレイク株は標準株に比較して病原性が高いことを明らかにし,論文投稿準備中である。本菌のマウス肺炎モデルにおいては緑膿菌に比較して肺組織障害は軽いことがわかったが浸潤する免疫細胞について解析中である。アシネトバクター・バウマニと他のアシネトバクター属菌の好中球との相互作用や病原性の違いについても検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当教室では長年アシネトバクター・バウマニ(A. baumannii)の病原性に関して研究を続けており,基礎データが比較的あったために論文化することが可能であった。ただし,変異株の作成等に関しては平成30年度の課題として実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
アシネトバクター・バウマニ(A. baumannii)の病原性をマウス肺炎モデルで詳細に検討する。老化マウスモデルで本菌の病原性を解析する。本菌の病原性を昆虫感染モデルで詳細に検討し論文投稿する。A. baumanniiの病原因子欠損株(莢膜欠損株やLPS欠損株)などを作成する。病原因子欠損株に対する好中球の応答性の評価やマウスや昆虫モデルでの病原性を評価する。多剤耐性アシネトバクター・バウマニの治療薬の免疫毒性作用について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は関連論文の執筆に時間を要したこと,分担教室員の都合により,予定していた病原因子を欠損させた変異株の作成やマウス動物実験が遂行できず,平成30年度にこれらの研究を集中的に実施するために研究費使用を次年度(平成30年度4月以降)に持ち越しました。
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