研究課題
アシネトバクター・バウマニ(A. baumannii)の新規病原性を解析した。好中球細胞外トラップ(NETs)形成を抑制することで本菌は好中球の殺菌機構からエスケープすることを報告した(Kamoshida G; Front Immunol, 2018)。リポ多糖(LPS)欠損コリスチン(CL)耐性株を確立し好中球の貪食殺菌抵抗性を評価した。野生型と比較してLPS欠損株は好中球の活性酸素種(ROS)と炎症性サイトカイン誘導能は弱いが、好中球は野生型株よりもLPS欠損株を有意に殺菌し、リゾチームが抗菌因子として強く作用することを報告した(Kamoshida G; Front Microbiology, 2020)。マクロファージ(MΦ)により多剤耐性アシネトバクター(MDRA)は貪食されたが、マウスおよびヒトMΦに貪食後もMΦ内で増殖し、高いカタラーゼ活性を示す株がMΦ内で増殖し、過酸化水素に対する抵抗することを示した。さらに、チゲサイクリン(TGC)はMΦ内のMDRAを効果的に殺菌した(Sato Y; Scientific reports, 2019)。A. baumannii及びそのLPSとマスト細胞や脂肪細胞との相互作用において炎症性サイトカイン/ケモカインが誘導されることを確認した。Sub-MICsのTGCはMDRAのバイオフィルム形成を抑制するがCLが増強することを報告した(Sato Y, PLoS One, 2018)。MDRAの病原性をGalleria mellonella幼虫感染モデルで評価し、カルバペネム/AMK耐性株は感受性株よりも病原性が強く、当院流行株の毒性が強いことを報告した。本モデルはMDRAの病原性や新規治療法の開発に有用であることを示した(Nishida S)。当院分離のKPC産生肺炎桿菌のシーケンス解析を実施し報告した(Nishida S)。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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