研究課題
I.MRSA臨床分離株のバイオフィルム関連遺伝子とin vitro におけるバイオフィルム発現への影響の評価およびバンコマイシン感受性や臨床像との関連の解析 2002年以降に分離されたMRSA血液分離株を用いPCR法を用いたバイオフィルム関連遺伝子の探索を行った。さらに、ポリスチレン製の96穴プレート上で発育させ、crystal violet染色後、分光光度度計によりバイオフィルム産生の定量スクリーニングを行った。バイオフィルム産生能は血清添加の有無で大きく異なる為、添加する場合と添加しない場合の両者で検討した。さらに各分離株のバンコマイシン低感受性の表現型であるヘテロVISA耐性やslow VISA耐性の特徴の有無についても解析を行った。これらバイオフィルム関連遺伝子とバイオフィルム発現能およびバンコマイシン感受性および各分離株が分離された例の臨床像との関連を解析した。これらの株のうち、病院感染型株、市中感染型株からバイオフィルム産生能の高い株を各々選択し、以下の実験に使用した。II. in vitroにおける非抗菌薬の抗バイオフィルム効果の評価これまでに抗バイオフィルム効果が報告されている非抗菌薬を単剤で添加し、抗バイオフィルム効果の評価を行った。さらに非抗菌薬添加の有無による各菌株の増殖曲線を測定した。コントロールとして過去のバイオフィルム解析研究で使用されたバイオフィルム形成能の高いATCC登録株を用いた。
3: やや遅れている
実験を遂行するマンパワーと時間の確保に難渋し、当初予定実験の約半分の実行量にとどまった。
実験遂行の補助を行うマンパワーの確保に目途がついたため、当初の実験計画の遅れ部分にも着手の予定である。尚、初年度の結果でバイオフィルムとバンコマイシン低感受性および臨床像との関連について、興味深い知見が得られており、それに関する実験も新たに遂行予定である。
初年度は解析を行った対象菌株数が当初の予定より少ない株数しか行えなかったが、次年度は解析菌株数を増やし検討する。さらにバイオフィルム発現関連遺伝子のより詳細な解析も行う予定である。当初計画していた、非抗菌薬の抗バイオフィルム効果に関するより詳細な解析やin vivoでの効果の解析等にも使用する予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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