研究実績の概要 |
MRSAは感染した壊死組織や医療器材の表面上でバイオフィルムを形成し、持続感染する。 非抗菌薬としてPS80をはじめとする複数種類の界面活性剤を用いてMRSAバイオフィルムの制御について検討した。結果、バイオフィルムの阻害効果は、培養線維芽細胞に比較的毒性が少ない量で認められ、その効果はバイオフィルムの破砕効果よりもMRSA菌体の接着阻害によって生じることが明らかとなった。これらの研究成果を2019年に論文報告した (Yutaka Ueda, Kota Mashima, Motoyasu Miyazaki, Shuuji Hara, Tohru Takata, Hidetoshi Kamimura, Satoshi Takagi, Shiro Jimi; Inhibitory Effects of Polysorbate 80 on MRSA Biofilm Formed on Different Substrates Including Dermal Tissue. Sci Rep 9(1):3128, 2019)。さらに、MRSA菌血症から分離された血液分離株について、解析菌株数を増やしバイオフィルム関連遺伝子およびバイオフィルム産生能、各種病原遺伝子について系統な解析を加え、また臨床像との関連について解析を加えた。このうちバイオフィルム産生能の高い株について、抗バイオフィルム効果を認める上記界面活性剤など非抗菌薬の効果を検討した。
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