本研究では4種類の界面活性剤のMRSAのバイオフィルム形成に対する抑制効果を検討し非イオン性界面活性剤であるポリソルベート80(PS80)が最も適していることを明らかにした。バイオフィルム形成抑制効果はバイオフィルムの破壊よりも基質への細菌の付着の抑制に起因するものであり、有効性を発揮する濃度での培養細胞に対する細胞毒性は低かった。しかし、その阻害効果は基質の種類に依存しプラスチック、シリコン、マウス真皮組織の各基質で認められたがステンレスでは認められなかった。以上より、PS80はプラスチック、シリコン、真皮組織に対して、MRSAが形成するバイオフィルムの予防に有効である可能性が示された。
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