研究課題/領域番号 |
17K10040
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
宮崎 義継 国立感染症研究所, 真菌部, 部長 (00311861)
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研究分担者 |
山越 智 国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (00212283)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 分泌小胞 / RNA / アスペルギルス |
研究実績の概要 |
本研究は侵襲性アスペルギルス症の主要な原因菌であるAspergillus fumigatusを標的とした新しい診断系の開発を目指す。そのためにA. fumigatus菌体外に放出する分泌小胞に含まれるRNA、タンパク質を網羅的に解析する。それが感染時血中あるいは尿中に放出されることを想定し、表面タンパク質を標的に分泌小胞を濃縮後、含まれるRNAを検出する系を構築し、診断に応用することを計画している 今年度は以下の結果を得た。1.分泌小胞の調整法の検討:複数の培地、培養条件を検討した。その中で、SD培地、30度、48時間培養し、その上清から超遠心法により真菌由来と考えられる分泌小胞を分離した。電子顕微鏡にて数十ナノメーターから1マイクロメーターを超える大きさの異なる小胞が存在した。2.分泌小胞に含まれるタンパク質のSDS-PAGE法による解析:超遠心によって得られた分泌小胞をSDSサンプル溶液で溶解し、SDS電気泳動に供し銀染色にてタンパク質を検出した。100k以下のタンパク質が少なくとも十数バンド含まれることが明らかとなった。3.分泌小胞に含まれるRNAの次世代シークエンスによる網羅的解析:分泌小胞からRNAを抽出し、キットにて塩基の短い画分と長い画分に分けた、それぞれをRNAシークエンスにて解析した。小分子RNAでは、約1千万塩基のリード数で、登録されているsnoRNAを初めとする各種RNAを検出した。さらに、同定されていない小分子RNAも多数検出した。大分子RNAでは、約70億塩基のリード数で、mRNAも検出されたが、rRNAが非常に多いのが特徴的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培地上で増殖させたアスペルギルス由来の分泌小胞の存在を、遺伝子解析と電子顕微鏡解析等により、確認できほぼ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
培養条件によって分泌小胞の回収率がかなり変わることが分かってきた。小胞に含まれるRNA、タンパク質の種類、量に影響を与えることを示唆するものであり。何種類かの培養条件で、分泌小胞を調整しその中に含まれるRNA、タンパク質を比較する必要が生じた。今後、RNAについては、シークエンス、タンパク質については電気泳動のパターンの比較をすることを計画に加える。したがって、タンパク質に対する抗体の作成は、2年目には実行しない可能性がある。それ以外は当初の計画通りに今後も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成29年度分についてはほぼ使用済みである。 (使用計画)上記のとおり。
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