研究実績の概要 |
本年度の研究では、①肺炎球菌によるオートファジー関連遺伝子ATG5, ATG7の誘導の有無、②オートファジー誘導に関わる肺炎球菌菌体成分の同定、③NOD2 KOマウス腹腔マクロファージに対する肺炎球菌暴露によるLC3誘導の有無の蛍光染色による確認を行なった。 ①について、マウスマクロファージ様細胞J774をMOI10または100の肺炎球菌で刺激し、経時的 (30分、3時間、12時間)にタンパクを抽出し抗ATG5抗体を用いてWesternblotで評価したところ、いずれにおいてもATG5が検出された。さらにRT-PCRを行いATG5, ATG7のmRNA発現を評価したところ、いずれにおいてもコントロール群と比較し有意な増加は認められなかった。マクロファージは異物除去も行い上皮細胞などとは異なり常にオートファジーが活性化状態になっており、肺炎球菌曝露による差が評価しにくい可能性があるため、よりナイーブな骨髄由来細胞を用いて再検討する。 ②肺炎球菌のパターン認識受容体に認識される菌体成分として重要なものに、細胞壁成分のリポタイコ酸、ペプチドグリカンなどが挙げられる。NOD2 KOマウスの腹腔内マクロファージを肺炎球菌で暴露してもLCI/IIのWesternblotによる評価が困難であったため、TLR2 KOマウスの腹腔内マクロファージを用いて同様に検討したところ、LCI/IIの変化は認められなかった。本検討では採取できた腹腔マクロファージタンパクが少なかったことが影響している可能性があり、やはり骨髄由来細胞で再検討する必要があると思われた。③NOD2 KOマウスの腹腔マクロファージを抗LC3抗体で蛍光染色し蛍光顕微鏡で確認したところ、野生型マウスの腹腔マクロファージと比較しLC3発現量が低下する傾向が認められたが、NOD2 KOマウスより採取した腹腔マクロファージの回収量が少ないこと、チオグリコレートによる刺激の影響などが考えられた。
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