研究実績の概要 |
パーソナリティー形成におけるソニックヘッジホッグ(Shh)シグナルの役割を解明するため、Shhシグナルが亢進しているGorlin症候群患者とそのモデルマウスを対象に研究を進めている。2020年度はGorlin症候群のモデルマウスであるPtc1遺伝子ヘテロ接合性ノックアウトマウス(Ptc1+/-)において行動実験と脳形態解析を行った。 行動実験については、扁桃体の関与が大きいと考えられている手がかり学習恐怖条件付け試験を行った。Gorlinマウス4匹(オス3メス1)と野生型マウス4匹(オス1メス3)、10週令、音を手がかりとして、すくみ反応時間を測定した。Gorlin,野生型で、day1: 24%,34.6% (P=0.89)、day7: 20.2%,31.2% (P=0.69)、day14: 4.9%,33.7% (P=0.057)で、有意差ないがGorlinマウスですくみ(恐怖)反応時間が短い傾向であった。 脳形態解析については、Gorlinマウス6匹、野生型マウス5匹(すべてオス)、12週令、8T・MRIにて撮影し、ANTX (atlas normalization toolbox using elastiX)にて脳形態を解析した。扁桃体(mm3):Gorlin左8.22右8.21、野生型左7.34右7.21(左側比較P=0.0079、右側比較P=0.16)海馬: Gorlin左23.45右23.73、野生型左7.34右7.21(左側比較P=0.032、右側比較P=0.032)、小脳: Gorlin左36.0右34.8、野生型左30.0右29.5(左側比較P=0.056、右側比較P=0.10)、大脳:Gorlin左145.6右144.3、野生型左131.6右128.7(左側比較P=0.016、右側比較P=0.032)であり、Gorlinマウスの左扁桃体で有意に拡大を認めた。 海馬と大脳は両側で有意に拡大を認めた。小脳は有意差を認めなかった。
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