研究課題/領域番号 |
17K10051
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
檜垣 克美 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 准教授 (90294321)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 治療法開発 / ムコ多糖症 / 脳疾患 / シャペロン / 蛋白質分解 / ライソゾーム |
研究実績の概要 |
ムコ多糖症II型は、ライソゾーム酵素IDSの遺伝的欠損によりおこるライソゾーム病の一つで、患者細胞ライソゾーム内にムコ多糖などが蓄積し、様々な病態を引き起こす。この疾患には、酵素補充療法が治療法として応用されている一方、脳障害に対する有効な治療法は存在しない。シャペロン療法とは、低分子シャペロン化合物を用い、細胞内で変異酵素に作用させることで、変異酵素蛋白質を構造的に安定化し、残存酵素活性を上昇させることで効果を得る方法である。また、低分子シャペロン化合物は、これまでの検討で、血液脳関門を通過し、脳病態に有効性を示す、また、酵素補充療法などで問題の中和抗体の出現などの問題も起こらないなどの利点がある。本課題では、ライソゾーム病脳病態に有効な画期的治療法であるシャペロン療法の原理を元に、ムコ多糖症II型に有効な低分子シャペロン化合物の探索を行い、効果の検証を行うことを目的とする。私は、これまで、独自に確立したアッセイ系を用い、酵素基質競合阻害活性および酵素安定化活性を指標とし、複数のムコ多糖症II型に対する候補シャペロン化合物を得てきた。本年度は、シャペロン候補化合物について、培養ヒト線維芽細胞を用い、各化合物の細胞毒性を示す濃度の決定を行い、シャペロン効果判定に用いる濃度域の設定を行った。また、ヒトIDS cDNA発現細胞系の構築を行い、変異IDS cDNA発現細胞を用いたシャペロン効果判定試験のための予備的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者由来培養線維芽細胞およびIDS cDNA発現細胞系を用い、シャペロン候補化合物の変異酵素活性に対する効果を調べるため、各候補化合物の培養細胞に用いる濃度の設定ができ、効果判定のための準備が整った。また、変異IDS cDNA発現細胞系の構築を行い、広範な変異酵素に対する化合物効果を調べる準備が整い、当初の予定通りの研究の進捗を得ることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
変異型のことなる患者由来培養線維芽細胞を用い、各候補化合物の酵素活性上昇効果の判定を行うことで、有効性の高い化合物の選別を行う。次に、得られた化合物について、変異IDS cDNA発現細胞系を用い、広範な変異酵素に対する化合物の効果について検討を行い、最も有効な化合物の同定を行う。また、化合物の細胞病態に対する効果についても検討を行う。
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