研究課題
平成31年度は、ゴーシェー病II型患者由来のiPS細胞から樹立したNeural progenitor cell(NPC)を使用して、薬剤スクリーニングで効果のあると考えられた8種類の薬剤を候補にして、これらの薬剤作用後のNPC内のGlcSphの定量を3度行った。薬剤処理前に比べて有意にGlcSphの含有量を低下させる薬剤が1つ(化合物A)だけ同定できた。ゴーシェー病II型とIII型患者iPS細胞からのNPCと正常者iPS細胞からのNPCをNeuronに分化誘導した。すでに、Fluo 4-AMを用いた解析により、ゴーシェー病II型とIII型患者由来のNPCから分化させたNeuronにおいて、カルシウムイオンの流入が正常者NPC由来のNeuronよりも亢進していることと、NMDA型グルタミン酸受容体とAMPA型グルタミン酸受容体の発現が、ゴーシェー病II型患者とIII型患者のNPC由来のNeuronでは亢進していることが、これまでの実験結果より判明したため、化合物Aの作用により、これらの神経細胞内のカルシウムイオンの亢進が改善するかの実験を現在も行っている。ゴーシェー病II型とIII型患者のNPC由来のNeuronでは、シナプス前終末の機能や分泌現象の計測に活用されているFM1-43により、正常者NPC由来のNeuronよりも開口放出能が低下していることを確認できた。さらに、SNAP25やSyntaxin 1aなどのシナプス前終末の機能にかかわるSNARE COMPLEXの遺伝子発現が低下していることも証明できたため、化合物Aの作用によりこれらの分子の機能が改善するかも引き続き検討している最中である。ゴーシェー病モデルマウスを随時繁殖させ、ゴーシェー病の病態について、検討し、化合物Aがモデルマウスに対しても有効であるかを計画・着手中である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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