研究課題/領域番号 |
17K10066
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
大久保 実 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (60241238)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グリコーゲン |
研究実績の概要 |
グリコーゲンが臓器に蓄積する疾患に糖原病III型があります。糖原病III型(glycogen storage disease type III: GSDIII)は、肝臓と筋肉にグリコーゲンが蓄積し、肝腫大・筋萎縮・心筋症・脂質異常症・高尿酸血症など多彩な臨床症状を呈する先天性代謝異常症です。この疾患では、グリコーゲン分解を行なうグリコーゲン脱分枝酵素 glycogen debranching enzyme (GDE) [遺伝子はAGL]が先天的に完全欠損しています。その結果、グリコーゲンが蓄積し臓器障害を引き起こします。GDEが同じように完全欠損していても、グリコーゲン蓄積による臓器障害の程度は患者ごとに大きく異なることが分かってきています。 本年度の糖原病III患者の解析から、これまでに報告のない大きな遺伝子欠失や一塩基欠失、スプライシング変異、ミスセンス変異などをAGL遺伝子に同定しました。多様な臨床症状を持つ患者を対象に、さまざまな遺伝子変異を同定することができたので、それぞれの遺伝子変異が肝臓・筋肉に及ぼす影響を検討していきます。またAGLは末梢血球にも発現しており、糖原病III型では末梢白血球・赤血球にもグリコーゲンが蓄積してきます。臨床的に容易に採血できる末梢血球を利用して、蓄積したグリコーゲン量と臓器障害の程度の相関をもこれから検討して行きます。特に、臓器障害の重症な例と軽度な例を比較して行きます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様な臨床症状を持つ患者を対象に、種々の遺伝子変異を同定することができた。それぞれの遺伝子変異が肝臓・筋肉に及ぼす影響を検討していきます。
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今後の研究の推進方策 |
グリコーゲン蓄積量を制御する因子を明らかにするために、糖原病III型のグリコーゲン蓄積量と遺伝子発現の変化を網羅的に対照と比較します。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNA sequencingをするためのplatformの選定に時間がかかり、年度内に購入できませんでした。このため、予定していた試薬の購入を見合わせ、「次年度使用額」が生じてしまいました。次年度にはplatformが使えるようになりますので、「次年度使用額」も合わせて実験に使用いたします。
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