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2017 年度 実施状況報告書

時間栄養学を基盤と するビタミンDによる 骨量制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K10071
研究機関地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所)

研究代表者

木下 さおり  地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 環境影響部門, 研究技術員Ⅱ (40746418)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードビタミンD / VDR / 時計遺伝子
研究実績の概要

Vitamin D(VitD)/ VitD受容体(VDR)シグナルの異常は、骨量低下の原因となる。VitD代謝調節機構には、概日リズム依存性の制御機構が存在することから、概日リズムの破綻はVitDシグナルの異常を介して骨量低下の原因となる可能性が示唆されるが、その詳細は不明である。本研究では、骨・ミネラル代謝の司令塔である骨細胞に注目し、骨細胞での概日リズムの破綻が、骨細胞でのVitD/VDRシグナル異常を引き起こし、その結果、骨量低下の原因になるという仮説の検証をおこなった。in vitroの検討を中心に、VDRと時計遺伝子Bmal1やClockとの間の機能的連関の解析を行った。共免疫沈降法を用いて解析を行ったと言、VDRはBmal1とは蛋白複合体を形成しないが、Clockとは複合体を形成することが判明した。レポーターアッセイを行ったところ、ClockはVDRのVDREを介した転写活性を増強することが判明した。さらに、ClockはVDRE周辺のヒストンのアセチル化を増強すること、そしてこの作用にはリズムがあることが判明した。Clockの核内における発現には、明期において増強するリズムが存在するため、Clockの核内におけるリズムが、VDRE周辺のヒストンのアセチル化のリズムを生み出していると考えられた。さらに、Clockがヒストンのアセチル化を増強する理由として、Clockが有するHAT活性が関与していることが、HAT活性を欠損するClock変異体Clockを用いた検討から明らかとなった。以上から、ClockはVDRと結合し、VDRE周辺のヒストンをアセチル化することで、VDRの転写活性を増強していることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ClockによるVDRの転写活性の制御機構を見出し、順調にin vitroの検討は進んでいるため

今後の研究の推進方策

1. ClockによるVDR制御のin vivoでの評価:骨細胞特異的Bmal1欠損マウスを用い、この変異マウスにおいて、VDRの転写活性が変化しているのか、その標的遺伝子の発現パターンをもとに解析する。
2. 骨細胞特異的Bmal1欠損マウスの骨表現型の解析:骨細胞における概日リズムの破綻が骨量および成長に与える影響を検討する。体重および吻臀長を1回/週の頻度で測定し、成長の評価とする。成長板の組織学的解析を併せて行う。骨量の評価はマイクロCTで行う。動的骨形態計測を併せて行い、骨形成・骨吸収のバランスを評価する。
3. 骨細胞特異的Bmal1欠損マウスにおける骨・ミネラル代謝関連分子の検討:8週齢マウスから4時間毎に大腿骨・腎臓・血液を採取する。骨における骨・ミネラル代謝関連分子(FGF23、Sclerostin、Dmp1、VDR、Rankl、Opgなど)、腎臓ではリン代謝関連遺伝子(リン酸トランスポーター:Npt2a、Npt2cなど)、Ca・ビタミンD代謝関連遺伝子(1a-hydroxylase、24hydroxylase、TRPV5など)の発現リズムを検討する。また、血清を用いて、活性型VitD、FGF23、PTH、Ca、Pの濃度を測定する。また、24時間を明期(12時間)・暗期(12時間)に分け、それぞれの期間において尿を採取し、骨代謝マーカー(CTXなど)のリズムを測定する。また、24時間尿も別採取し、Ca/P排泄率を測定する。これらの結果から、骨細胞における概日リズムの破綻が骨・ミネラル代謝に与える影響を検討する。

次年度使用額が生じた理由

マウスのコロニーがまだ小さく、維持費が予想より小さかったため。次年度には、マウス維持費用が増加すると考えられ、また分子生物学的解析費用も増加すると考えられ、この費用に割り当てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 腸管生物時計はVDR依存性カルシウム吸収を制御し、その破綻は骨量減少を引き起こす2017

    • 著者名/発表者名
      2.川井正信、木下さおり、山崎美和、山本景子、大薗恵一、道上敏美
    • 学会等名
      第51回日本小児内分泌学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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