研究課題/領域番号 |
17K10075
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
城所 博之 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20647466)
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研究分担者 |
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (40343206)
夏目 淳 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (60422771)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発達期脳容量 / 脳波 / 早産児 / 紡錘波状速波 / 機能的MRI |
研究実績の概要 |
発達初期の脳皮質に内在する自発的電気活動である紡錘波状速波は、早期の皮質形成や神経ネットワーク構築に重要な役割を果たすことが、近年、動物実験で明らかにされてきた。ヒト早産児に高率に認める知的発達症や神経発達症の病態にも、この自発的活動が重要と考えるが、未解明である。 私たちは近年、修正齢32週前後の早産児の脳波に観察する紡錘波状速波を定量し、1歳半時の発達予後と相関することを明らかにした。この研究成果を踏まえ、本研究では、脳波にみられる紡錘波状速波の障害がヒトでも、正常な皮質形成や神経ネットワーク構築に負の影響を与えることを、最新のMRI技術を用いて明らかにする。さらに、紡錘波状速波の活動を阻害する臨床要因を明らかにし、それを予防し介入することで、正常な脳発達を促し早産児の予後改善を目指す。 平成30年度は、新たに研究参加が得られた早産児約20例に対し、多チャンネル脳波記録をNICU内で継続し施行した。また、修正40週前後で脳MR画像を撮像した。3テスラ高磁場MRI装置(Verio, Siemens, Germany)を用いて、脳容量・脳回形成解析用の3次元MRI、安静時機能的MRIと拡散テンソル画像の撮像を行った。さらに、昨年度記録した脳波にみられる紡錘波状速波をチャネル毎に定量解析が終了した。MRI画像の解析は次年度に全てのデータが揃った段階で行えるよう、データ保存し、解析前に必要な下準備を行った。 本研究から予想される結果と意義は、紡錘波状速波の障害を受けた超早産児は、脳皮質の解剖学的構造や神経ネットワークの発達に障害をもつ。そのことが将来の知的発達症や神経発達症と関連するという仮説が明らかとなり、早期介入が必要な早産児の選別、周産期管理の再検討、早産児に高率な知的発達症や神経k発達症の発症メカニズムの解明につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度は、研究参加が得られた早産児に対し、多チャンネルの脳波記録を経時的に行った。本学NICUに入院した在胎22週~34週の早産児の入院数は約30例であった。脳波はNICU内で多チャンネル・ビデオ脳波同時記録を行い、筋電図、呼吸、眼球運動の評価を加えたポリグラフ記録で行った。出生後1週間以内に初回脳波記録を行い、以降は1~2週間隔で、修正40週まで反復して施行した。さらに、修正40週で脳MR画像の撮像を施行した。3テスラ高磁場MRI装置(Verio, Siemens, Germany)を用いて、脳容量・脳回形成解析用の3次元MRI、拡散テンソル画像の撮像を行った。脳波データの解析は記録された脳波データをMATLABでSPMを用いて解析を行っている。概ね順調に解析は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、対象の早産児の修正1歳半における神経学的評価を継続する。当院外来にて神経学的評価並びに発達評価を行う。小児神経専門医が専門外来にて包括的な神経学的評価を行う。発達検査は、臨床心理士が新版K式発達検査とM-chatによる自閉症スクリーニングを行う。また、修正1歳6か月で2回目の脳MRI撮像を行う。前年度と同様に、得られたMR画像の解析を行う。脳体積MRIはSPMを用いて脳皮質・白質体積を計測する。また、LIGASEとCarretソフトウエアを用いて神経ネットワーク解析を行う。最後に、紡錘波状速波の活動を阻害する臨床因子を探求する。これには、診療情報を詳細に収集し、紡錘波状速波に負の影響を与える臨床因子を特定する。最後に、上記の結果を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度購入予定であった画像データ保管装置の購入を次年度に繰り越した。これは、一昨年度に施行されたMRI件数が当初の研究計画よりも少なかったため、一昨年購入した画像データ保存装置の容量に空きがあったためである。また、昨年度は、本研究を遂行するために必要な脳波解析や画像解析の前処理に当初の予定以上に時間が必要であったため、情報収集のために計上した学会出張費の一部を計上しなかったため、次年度に繰り越し額が生じた。
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