24時間ホルター心電図を用いて、小児神経筋疾患患者における心拍変動の特性を見出し、心臓合併症の治療評価指標を見出すことが本研究の目的である。平成25 ~28年度の検討(文部省科学研究費情勢事業 若手研究(B)課題番号25860877)では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の死亡例15人77データについて解析 した。その結果、生命予後予測に心拍変動が進行性に低下している傾向を認めた。 平成29年度は112例530データを解析した。また、死亡 例は計20例82データに増加した。前研究同様に死亡例で、心室性期外収縮、心拍変動の各パラメーター(SDNN、pNN50、r-MSSD、HRVTI、Deceleration capacity of heart rate、心拍変動スペクトル分析)を解析し、生命予後を予測できるか検討した。心拍変動の各パラメーターはすべて、死亡日に近くなると有意に低下する傾向を認めた。特に、HRTVI、SDNN、rMSSD、pN50、DCは相関が高かった。一方で 心室性期外収縮では有意な傾向を認めなかった。多因子解析を要するため、令和3年度と4年度は、臨床情報と心電図解析のデータと各個体内で連結すべく、ホルター心電図を行っていた113症例の臨床情報(心機能、内服薬、身長、体重)を収集した。令和5年度は初回にホルター心電図検査したときの臨床情報と心拍変動のデータの欠損値を確認し111例の多因子分析を行っている。 研究全体は、COVID-19パンデミックを含む諸事情により当初の予定より大幅に遅れた。成果としては、113症例のホルター心電図データ603から心拍変動を解析した。初回24時間ホルター心電図の心拍変動パラメーターが生命予後を予測できるかを最終的に多因子分析して、論文発表する予定である。
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