研究課題
マウスを用いた行動実験系で、帝王切開によって生まれた仔マウスはオス、メス共に自然分娩によって生まれた仔マウスと比較した場合に、社会性の低下を含め様々な違いが確認された。行動実験のほとんどが仔の成長後に実施しているが、一部は、生後8日目という早期から確認されたものもある。つまり、帝王切開出産による生まれた仔への影響は生後の長きにわたる事が示唆された。そして、これらの影響は周産期におけるオキシトシン(OXT)の単回投与で抑制できることが確認された。 また、出産前にOXT受容体のアンタゴニストを投与して自然分娩をさせると、生まれた仔マウスは帝王切開によって生まれた仔マウスに近い行動変化を引き起こすことも確認された。つまり、出産時の母体から胎児へのOXTの暴露が生まれた仔の社会性の正常発達に関与していると考えられたので、OXT遺伝子をKOしたメスマウスに野生型マウスの受精卵を移植して出産させると、オスでは社会性の低下など帝王切開の場合とほぼ同様の変化が認められたが、メスでは変化を示さなかった。周産期におけるOXTの暴露が仔の正常な精神発達に重要な役割を果たしているらしいことが分かったが、その影響は雌雄によって異なり、オスに影響が出やすいことも分かってきた。(Scientific Reports https://doi.org/10.1038/s41598-021-88437-8)
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Scientific Reports
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10.1038/s41598-021-88437-8