研究課題/領域番号 |
17K10091
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
勝又 規行 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 上級研究員 (10260340)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先天性副腎低形成症 / 先天性ACTH不応症 / ミトコンドリア電子伝達系 / NNT遺伝子 / GPX4遺伝子 / GSR遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究は、責任遺伝子が同定されていない先天性副腎低形成症/ACTH不応症の家系を対象として、これまでの原因遺伝子から推測される候補遺伝子、およびNNT異常患者のセルラインを用いた解析から推測される候補遺伝子の解析を行うことにより、先天性副腎低形成症および先天性ACTH不応症の新規原因遺伝子を解明することを目的とする。 近年、先天性副腎低形成症/ACTH不応症の原因として、ミトコンドリア電子伝達系の蛋白をコードするNNT遺伝子およびTXNRD2遺伝子が同定された。したがって、もう一つのミトコンドリア電子伝達系であるグルタチオン系の異常も、先天性副腎低形成症/ACTH不応症の原因となり得ると考え、ミトコンドリアのグルタチオン還元酵素をコードするGSR遺伝子、グルタチオンペルオキシダーゼをコードするGPX4遺伝子に注目した。昨年度は、責任遺伝子が同定されていない先天性副腎低形成症/ACTH不応症の23家系およびその疑いの4家系で、GPX4遺伝子を候補遺伝子として解析を完了したが、既報のSNPであるrs4807542 (c.36G>A, p.P12P) 以外の塩基置換は、蛋白コード領域およびエクソン-イントロン境界領域に認められなかった。本年度は、GSR遺伝子を解析するために、各エクソンをPCR法で増幅し、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerを用いてPCR産物の塩基配列を決定した。GSR遺伝子解析は完了したが、既報のSNPsであるrs2280854 (c.189C>T, p.A63A) およびrs8190955 (c.457C>T, p.R153C) 以外の塩基置換は、蛋白コード領域およびエクソン-イントロン境界領域に認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ABI PRISM 310 Genetic Analyzerが故障し、修理をするのに時間を要したために、遺伝子解析に遅れを生じた。現在、修理を終え、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerは正常に稼働している。
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今後の研究の推進方策 |
GPX4遺伝子およびGSR遺伝子に病因となる変異が認められなかったので、NNT異常患者のリンパ芽球セルラインから抽出したRNAの研究に移行する。 NNT異常症の患者および母親のリンパ芽球セルラインからRNAを抽出する。研究の申請時には、ディファレンシャルスクリーニング法によるRNA解析を予定していたが、RNA-Seq解析が格段に進歩したので、RNA-Seq解析により母親と患者で遺伝子発現量に差が認められる遺伝子群を同定する。これら遺伝子群は、NTTの上流あるいは下流にあると考えられるので、候補遺伝子群とする。これら候補遺伝子群から、バイオインフォマティクス解析で、副腎皮質における発現が高い遺伝子あるいはミトコンドリア電子伝達系に関与する遺伝子を選択し、候補遺伝子とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅れのため、NNT異常患者のリンパ芽球セルラインから抽出したRNAの研究に移行できなかったので、残金が生じた。生じた残金は、NNT異常患者のリンパ芽球セルラインを用いた解析を行うために使用する予定である。
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