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2017 年度 実施状況報告書

GATA1遺伝子変異による白血病発症の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K10094
研究機関弘前大学

研究代表者

金崎 里香  弘前大学, 医学研究科, 助教 (60722882)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード白血病 / 転写因子
研究実績の概要

ダウン症新生児の約10%は、未熟な巨核球が一過性に増殖する血液疾患(TAM)を発症する。 TAMは早期死亡率と巨核球性白血病(ML-DS)への進行リスクが高率である。効果的でかつ副作用の少ないTAMの新規治療法の開発とML-DS発症の予防を目指し、TAMの発症と芽球の増殖メカニズムを明らかにするのが本研究の目的である。TAMとML-DSのほぼ前例に、転写因子GATA1においてN末端を欠くタンパク(GATA1s)の発現を招く遺伝子変異が検出されることから、 本研究は、GATA1sと細胞増殖を促進するチロシンキナーゼ型受容体 KIT遺伝子の発現制御に焦点をあて、実施している。
これまでにML-DS由来細胞株や、GATA1に変異のない巨核球系細胞株K562にGATA1sとなる変異を導入して作成したGATA1s細胞株を用いてGATA1sの全ゲノムにおける標的を明らかにしているものの、これらはあくまで細胞株でのデータであり、実際の臨床検体と相違がないかが重要である。そこで、TAM芽球でのGATA1s結合部位の解析(KIT遺伝子上流のGATA因子結合位置の同定)を試みた。
当研究室で凍結保存しているTAM芽球を、短期間培養したのち固定してクロマチンを抽出し、GATA1sのクロマチン免疫沈降(ChIP)-シークエンスを実施した。KIT遺伝子周辺に関しては、細胞株で検出されているGATA結合領域のうち、-109kb、-87kbにGATA1sの結合が認められたことから、細胞株をモデルにGATA1s研究を進めることは可能であると判断できた。しかし、これまでの細胞株のGATA1 ChIP-qPCR結果と比較して、GATA1sのGATA認識配列への結合が少なかった。ChIP抗体の劣化か、あるいは、TAM芽球の短期間培養後にGATA1の発現が1/3程度に低下していたことが、本結果に影響したと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

TAM検体の培養の最適化や、TAM検体でのGATA1s ChIP-seqで、ゲノム上のGATA結合配列へのGATA1sの結合が少なかったことに対する検証作業等が必要となり、時間を要したため。今年度に予定していた、KIT遺伝子上流のGATA因子結合領域の重要性に関する実験を進行させることができなかった。

今後の研究の推進方策

今年度の研究では、TAMとGATA1s細胞株とでKIT遺伝子へのGATA1sの結合に大きな乖離がないことが確認できた。そこで、今後は細胞株をモデルに、1. KIT遺伝子上流のGATA因子結合領域の重要性について 2. KIT遺伝子クロマチン高次構造に対するGATA1、GATA1sの役割について の2点について研究を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

TAM検体のGATA1s ChIPの結果、ゲノムのGATA認識配列へのGATA1sの結合が細胞株よりも予想外に少なかったので、このことに対する検証作業が必要になり、次の実験に入る時間が予定よりも少し延期したため。次年度は、今回の問題を解決した上で、円滑に研究を推進したいと考える。

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公開日: 2018-12-17  

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