研究課題/領域番号 |
17K10095
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
工藤 耕 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20455728)
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研究分担者 |
土岐 力 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50195731)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 遺伝子治療 / 免疫療法 / キメラ型受容体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「抗体療法の効果を増強する細胞免疫療法の品質を均一化し、汎用性を高めること」であり、具体的に以下の3つに関し、研究を行っている。①遺伝子編集技術によりアロ免疫反応を回避した他家移植細胞療法モデルの作成②抗体と併用し抗腫瘍効果を発揮するキメラ型受容体遺伝子を導入した細胞株による細胞療法の確立③抗腫瘍効果の持続期間の長い細胞集団の生物学的特徴の同定である。
①に関して、ゲノム編集技術を用いてT細胞受容体を削除したT細胞を作成中であるが、目的とする遺伝子編集細胞の作製において、ヒトT細胞受容体の多様性に起因すると思われる技術的問題により、目的とするT細胞受容体を削除したT細胞が得られていない。そのため、これまでと異なる作製方法を模索中である。②に関しては、既存の細胞株にキメラ受容体遺伝子導入を行い、抗体併用により抗腫瘍効果を発揮する新たな細胞株を作製した。しかしながら、同様の細胞株がすでに開発され特許出願されていることが判明した。そこで、付加的な機能を追加する改良を試みており、複数の細胞株を作製し機能を解析している。③について、遺伝子改変し作製したキメラ受容体発現免疫細胞においても、細胞表面のキメラ受容体発現が高いものと低いものや、抗腫瘍効果にばらつきが認められる。そこで各細胞集団をソーティング分取し、遺伝子発現の差を解析したが、効果に結び付く明らかな差を認めなかった。そこで、現在、免疫担当細胞の疲弊化マーカーの発現の差について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた目的にクローンが得られないなど技術的困難に直面している、また、同様の研究に先行され改変を余儀なくされているため。
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今後の研究の推進方策 |
具体的3つの目的のうち、新たな免疫細胞療法に使用可能な細胞株の作成に重点をおいて、特許取得や製品化をめざした研究を進める。 ①遺伝子編集技術によりアロ免疫反応を回避した他家移植細胞療法モデルの作成に関しては、CRISPRゲノム編集方法の見直しが必要であるため、再度デザインし異なる方法での遺伝子導入方法で挑戦する。②抗体と併用で抗腫瘍効果を発揮するキメラ型受容体遺伝子を導入した細胞株による細胞療法の確立については、付加的機能を加え特許取得製品化を目指す。③遺伝子導入細胞の抗腫瘍効果のばらつきに関しては、免疫担当細胞の疲弊化マーカーを用いて長期間効果が持続する細胞集団の同定を解析しているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
技術補佐員の疾病による休業期間があったため、その期間の人件費の謝金で減少が生じたため。復帰後は、勤務時間数を増加させており、翌年度分の増加分の人件費として使用予定である。
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