研究課題
抗HIV療法(antiretroviral therapy, ART)はHIVの複製を抑制し、CD4陽性T細胞数を回復すると共に免疫活性化も抑制する。申請者らは横断的調査を行い、小児ではHIV感染によりTreg(regulatory T cells)が早期に低下し、CD8細胞と単球が生後早期に活性化されること、ART導入により、Th1(helper T cell)は早期に回復し、CD8細胞活性化も早期に正常化するが、Th2/Th17/Tregの回復は緩徐であったことを明らかにした。本研究では長期ARTが小児の免疫状態に及ぼす影響を解明した。ARTを新たに導入したHIV感染小児59名(年齢中央値3.9才)をリクルートした。ART開始6ヶ月後までに死亡した11例と治療中止した1例を除く48名の免疫状態を6ヶ月毎にフォローした(観察期間中央値36月)。HIV非感染小児79名(3.8才)を一回解析し、対照とした。ART導入後、HIV感染児のCD4-RTE(recent thymic emigrants)/-naive/-cm(central memory)/-em(effector memory) とTh1, CD8-naive/-cm は6ヶ月までに非感染児と同じレベルまで回復した。CD4-emra(em-CD45RA+)とTh2/Th17/TregおよびCD8細胞活性化は18ヶ月までに、CD8細胞数とCD8-em/-emraは42ヶ月までに、CD4/CD8比は48ヶ月までに正常化した。ART前の年齢は小さいほどART後6ヶ月のCD4細胞増加数が多かった。ARTにより小児の胸腺機能は早期に回復し、CD4-naiveとCD8-naiveおよびTh1も早期に回復した。他の免疫細胞はART後1-4年までに正常化した。HIVの早期診断とARTの早期導入は小児のHIV感染管理に重要である。
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