研究実績の概要 |
Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ(PPARγ)アゴニスト作用をもつ2型糖尿病薬Pioglitazoneは抗炎症作用をもつことが多く報告されている。またX-CGDマウスにおける食細胞のミトコンドリア活性酸素を誘導し、黄色ブドウ球菌に対する殺菌を改善することが報告された。そこでX-CGD患者におけるPPARγ発現をコントロールと比較したところ、単球、好中球ともにX-CGD患者においてPPARγ発現は低下していた。一方、微生物の食細胞による殺菌には活性酸素の他、殺菌蛋白も重要な働きを担っている。活性酸素産生がないCGDでは、代償的に殺菌蛋白に変化がある可能性が考えられ患者とコントロールで比較したところ、myeloperoxidase (MPO), elastase, α-defensin, NGAL, lactoferrinの発現は患者で低下していたが、Bactericidal Permeability Increasing protein (BPI), hCAP-18は同程度であった。 これまでの研究からX連鎖性のX-CGDの保因者では、2本のX染来のどちらか1本が働かなくなるX 染色体不活性化現象から、ROS産生のある細胞とない細胞が混在していることが判明している。この点に注目し、ROS産生以外の背景が同一X-CGDの保因者から食細胞を比較検討した。gp91phox-p22phox複合体を認識する7D5抗体でROS発現のある細胞とない細胞にわけ両者を比較検討したところ、PPARγ、MPO, esterase, α-defensin, NGAL, lactoferrinの発現は両者で差がなく、X-CGD患者とコントロールの比較とは異なる結果となった。
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