研究課題
前年度に引き続き、現不明の小児重症患者から得られた検体を用いて、病原微生物の網羅的な検出を行った。2019年は重症肺炎患者より採取された気管支肺胞洗浄液(BALF)の検体を中心に解析した。前年度までは、RNAライブラリーは、ScriptSeq (illumina)を用いて作成していたが、キット由来のレトロウイルスが混入しすることが問題点として挙げられていた。そのため、RNAライブリーをREPLI-g WTA Single Cell kit(Qiagne)でRNAからcDNA合成し、その後にNextera XT (illumina)でライブラリー作成する過程に変更した。小児の重症肺炎患者10例から採取されたBALFを解析した。BALFからDNAおよびRNAライブラリーを作成し、1検体あたり約2000万リードの判読を行った。得られた結果をメタゲノム情報解析パイプライン(MePIC)により解析し、微生物由来のリードの存在が示唆された検体に関してはCLC workbench (CLC bio)を用いて、各ウイルスや細菌配列へのマッピングや配列相同性を確認した。10症例中、7症例から以下のウイルス由来の配列が多量に検出され、疾患との関連が示唆された(RSウイルスA 2例、エンテロウイルスD68 2例、RSウイルスB 1例、ライノウイルスB 1例、ヒトメタニューモウイルス1例)。エンテロウイルスD68については、系統樹解析を行い、近年本邦や海外で流行したsubclade B3に属していることが確認された。一方で、3例からはS. maltophilia, H.influenzae, M.catarrhaliisが検出され培養検査と一致していた。以上の結果よりNGSによる解析はウイルスおよび細菌を網羅的に検出することが可能であり、呼吸器感染症の病原体診断に有用な手法であることが示唆された。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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