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2017 年度 実施状況報告書

ゲノム編集スクリーニングを用いた急性骨髄性白血病に対する新たな治療標的分子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K10111
研究機関島根大学

研究代表者

福田 誠司  島根大学, 医学部, 教授 (30273147)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード急性骨髄性白血病 / FLT3/ITD / CXCL12 / 薬剤抵抗性
研究実績の概要

現在、FLT3/ITD陽性白血病細胞がFLT3/ITD抑制剤に対する耐性を生ずる分子機構を解析している。

FLT3/ITD抑制剤QuizartinibはFLT3/ITD陽性白血病細胞をアポトーシスに導いたが、骨髄微小環境に存在するケモカインCXCL12を添加するとQuizartinib単独時に比べて細胞のアポトーシスは更に増加した。一方、CXCL12に対する受容体CXCR4に対する拮抗薬AMD3100はCXCL12によるアポトーシス誘導効果を部分的に解除し、Quizartinibによるアポトーシスは結果として減少した。これらは、CXCL12によって生ずるシグナルが、FLT3/ITD機能を抑制的に制御する可能性を示唆する。そこで、FLT3/ITD陽性細胞をCXCL12で刺激し、遺伝子発現を網羅的に解析した。全mRNAの内、約13%が FLT3/ITDによって増加または減少したが、この内約4%が更に増強または減少したのに対して、約18%がFLT3/ITDによって変動する変化と拮抗して変化した。即ち、FLT3/ITDによって生ずる遺伝子発現変化は、CXCL12によって一部はその効果が増強される一方、その他は拮抗されることが明らかとなった。したがって、微小環境内に存在するCXCL12はFLT3/ITD細胞に対して促進的機能を持つ一方で、抑制的な機能も併せ持つ。

米国の臨床治験では、CXCR4拮抗薬を用いたFLT3/ITD陽性白血病の治験が行われ、部分的に有効ではあったが、不完全であった。今回のデータはCXCR4拮抗薬が、CXCL12によって生ずるFLT3/ITD機能を拮抗するシグナルを抑制することを示唆し、FLT3/ITD抑制剤に対する抵抗を助長する可能性を示す。今年度は、遺伝子発現スクリーニングを用いて解析を行ったが、次年度はゲノム編集技術を用いてFLT3/ITD抑制剤に対する抵抗性の分子機構を解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

薬剤抵抗性に関する分子機構の解析は進んでいるが、当初提案したゲノム編集技術を用いた解析には至っていない。薬剤抵抗性分子を同定する為のguide RNAライブラリー導入の為の予備実験に時間を要している。効率の良い導入が行えないとスクリーニングできないので、効率よい導入を行う為の実験条件の検討も行っている。

今後の研究の推進方策

今年度は、遺伝子発現スクリーニングを用いて解析を行ったが、次年度はゲノム編集技術を用いてFLT3/ITD抑制剤に対する抵抗性の分子機構を解析する予定である。guide RNAライブラリーの導入の条件が整えば、ライブラリーを薬剤抵抗性細胞に導入し、その中で薬剤抵抗にかかわる新しい分子を同定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定した購入物品を購入できなかった為(ゲノム編集用のguide RNAライブラリー)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] インディアナ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      インディアナ大学
  • [雑誌論文] Rapid Mobilization Reveals a Highly Engraftable Hematopoietic Stem Cell2018

    • 著者名/発表者名
      Hoggatt J, Singh P, Tate TA, Chou BK, Datari SR, Fukuda S, Liu L, Kharchenko PV, Schajnovitz A, Baryawno N, Mercier FE, Boyer J, Gardner J, Morrow DM, Scadden DT, Pelus LM
    • 雑誌名

      Cell

      巻: 172 ページ: 191-204

    • DOI

      0.1016/j.cell.2017.11.003.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Survivin is Required for Mouse and Human Bone Marrow Mesenchymal Stem Cell Function2018

    • 著者名/発表者名
      Singh P, Fukuda S, Liu L, Chitteti BR, and Pelus LM
    • 雑誌名

      Stem Cells

      巻: 36 ページ: 123-129

    • DOI

      10.1002/stem.2727

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] CXCL12/CXCR4 functions both stimulatory and antagonistic on FLT3/ITD signaling2018

    • 著者名/発表者名
      Seiji Fukuda, Tomohiro Hirade, Mario Abe, Takeshi Taketani
    • 学会等名
      121th Annual meeting of Japanese Society of Pediatrics
  • [図書] Molecular Interaction between the Microenvironment and FLT3/ITD+ AML Cells Leading to the Refractory Phenotype2018

    • 著者名/発表者名
      Fukuda S, Hirade T, Abe M, Taketani T, Onishi C
    • 総ページ数
      25
    • 出版者
      In Tech Pone Publisher
    • ISBN
      978-1-78923-103-8
  • [備考]

    • URL

      http://ped-shimane-u.jp/study/hematological_malignancy

URL: 

公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-21  

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