研究課題/領域番号 |
17K10111
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
福田 誠司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30273147)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / FLT3/ITD |
研究実績の概要 |
FLT3変異陽性(FLT3/ITD)急性骨髄性白血病のFLT3阻害薬抵抗性の原因となる分子を同定する研究を継続している。これまでにFLT3阻害薬Quzartinib抵抗性細胞とGilteritinib抵抗性細胞を樹立し、これらに対する抵抗性分子を同定を試みているが、ゲノム編集スクリーニングを用いた手法では、同定が進まず、頓挫しているので、別のアプローチでFLT3阻害薬抵抗性の分子機構を同定しつつある。
Quzartinib抵抗性細胞においては、Cxcr4発現は上昇していることがわかった。また、Cxcr4発現がもともと高い細胞においてQuzartinib抵抗性が亢進していた。しかし、Quzartinibを取り除くとQuzartinib抵抗性細胞で亢進していたCxcr4発現レベルは低下し、逆にQuzartinibを再添加するとCxcr4が亢進し、Quzartinib存在化での細胞増殖速度が増加した。即ち、ひとたびQuzartinib抵抗性を獲得すると、Quzartinibを加えることでCxcr4が上昇し、Quzartinib存在化でのFLT3/ITD陽性細胞の増殖が亢進することが明らかとなった。これは、FLT3阻害薬Quzartinib自身によってFLT3陽性白血病細胞の増殖が亢進してしまうという新たな現象であり、現在その分子メカニズムを解析中である。特に、転写因子Runx1はCxcr4の発現を増加させるので、現在Runx1をCxcr4変動に関わる分子候補として、解析中である。また、Quizartinibだけでなく、Gilteritinibに対しても同様の現象が見られるかを解析している。これらの結果の一部は2019年米国血液学会と日本血液学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
技術的なトラブルで進捗が遅れているが、別のアプローチでFLT3変異陽性白血病のFLT3阻害薬に対する抵抗性メカニズムを同定しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、FLT3阻害薬に対する抵抗性に関わる分子機構を明らかにする。 当初考えていたアプローチとは異なるが、FLT3阻害薬に対する抵抗性に関わる分子機構を明らかにするという当初の研究の目的は達成できると考える。 今後、Runx1をCxcr4変動に関わる分子であることを証明し、Quizartinibだけでなく、Gilteritinibに対しても同様の現象が見られるかを解析する。現在、論文化も同時に行っており、これらをまとめて論文化する。尚、今年度はCOVID-19による影響で学会での発表は必ずしも必須とせず、データの解析、論文化に集中する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗に遅れがあり、当初の計画したアプローチとは異なる解析を行っている。技術的な問題で進捗が遅れたために次年度への繰り越しが生じた。しかし、当初の研究目的には到達しつつある。
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