研究課題/領域番号 |
17K10114
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田内 久道 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (30314959)
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研究分担者 |
石井 榮一 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (20176126) [辞退]
越智 史博 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30637905)
江口 真理子 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (40420781)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビフィズス菌 / 新生児 / 腸内細菌 / NICU |
研究実績の概要 |
我々はこれまで分子生物学的手法を用いて、新生児の腸内細菌は無菌の状態から腸内細菌科細菌が優勢な時期を経て生後1ヶ月の時点でビフィズス菌が優位となることを明らかにした。また新生児集中治療室(NICU)で治療されている新生児では腸内細菌の獲得過程が正常新生児とは全く異なり、ビフィズス菌の獲得も著しく遅延しその間グラム陽性球菌が優位となる期間が存在することも明らかとした。このことがNICUにおいてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のアウトブレークが高頻度で発生する原因の一つではないかと推測される。 今回の研究ではNICUで治療されている新生児に対し、ビフィズス菌を早期に短期間投与を行うことにより腸内細菌叢の正常化が可能かどうかを検討している。 NICUで治療されている新生児に対しビフィズス菌(B. breve:ビフィズス菌の中で日本人乳幼児の最優勢菌種)の投与をおこない、腸内細菌叢が正常化できるかに関して検討を行う。ビフィズス菌の投与は他の細菌が腸管に定着する前、すなわち出生後すぐから5日間継続して行い、この菌株が優位菌として機能するかどうかを検討する。本研究は、単遮蔽を用いたマスキング群間比較試験である。対象はNICU環境下で治療される、出生時体重が1500 g以上で重篤な疾患を持たない新生児対象とする。予定症例数はビフィズス菌投与群10例、非投与群10例である。 平成30年度は、採取した便検体について順次DNAを抽出し、菌属・菌種特異的プライマーを用いて標的とする菌の16SrDNA遺伝子を選択的に増幅後、PCR産物のパイロシークエンスを行うことにより菌の同定を行う。現在まで4症例の新生児がエントリーされ、ビフィズス菌の投与を行い、腸内細菌叢の変化に付き予備的解析を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新生児集中治療室にて治療開始直後の新生児に対するビフィズス菌の投与試験であり、慎重に投与対象を選択している。またその時期の親権者は、病児のに対して大変デリケートな状況にあるため丁寧な説明の上同意の取得を目指しているが、同意を得られないことも多い。このためエントリーできた症例数が予定を下回っている。
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今後の研究の推進方策 |
4症例の研究は順調に進捗している。エントリー症例数が予想を下回っていることについては、期間を延長することで対応可能である。また、研究参加への同意取得に関しより丁寧な説明を行うよう担当者間で再確認を行っている。基本的な研究方策については変更の必要はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
NICUにて治療中の新生児に対するビフィズス菌の投与試験であり、慎重に投与対象を選択しまた親権者に対して丁寧な説明の上同意の取得を行っているため、エントリーできた症例数が予想を下回っている。現在34症例をエントリーし研究を行っているが解析は順調に進捗している。エントリー症例数が予想を下回っていることについては、期間を延長することで対応可能である。また、研究参加への同意取得に関しより丁寧な説明を行うよう担当者間で再確認を行っている。基本的な研究方策については変更の必要はない。
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