研究課題
人体のさまざまな部位には微生物叢(マイクロバイオーム)があり、疾患との関わりが注目されている。微生物叢は皮膚にも存在するが、皮膚マイクロバイオームの変化がどのような疾患に、どのように関与しているのかは十分に明らかにされていない。アトピー性皮膚炎患者の皮膚では黄色ブドウ球菌が増加しているとの報告があり、病態との関係が注目されている。しかしながら、これまでの研究では細菌叢に主眼が置かれることが多く、ウイルス叢と皮膚疾患の関係については不明な点が多い。ポリオーマウイルスは、皮膚ウイルス叢を構成するに主なウイルスである。そこで本年度は、アトピー性皮膚炎患児皮膚におけるメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)、ヒトポリオーマウイルス6型(HPyV6)およびヒトポリオーマウイルス6型(HPyV6)のウイルス量を解析した。アトピー性皮膚炎患児(年齢1歳~10歳、中央値4.5歳、平均年齢4.2歳、計14症例)の皮疹部と非皮疹部の双方をPBSに浸した綿棒で擦り、この皮膚スワブからDNAを採取した。対照は健常児皮膚(年齢1歳~11歳、中央値4歳、平均年齢4.3歳、計19症例)とした。定量的リアルタイムPCR法でMCPyV、HPyV6、HPyV6のゲノムコピー数を測定した(コピー/ng DNA)。健常皮膚と比較して、アトピー性皮膚炎患児では皮疹部と非皮疹部ともにこれらポリオーマウイルス量に有意差は認められなかった。これらの結果は、成人発症アトピー性皮膚炎での解析結果とは異なるものであった。成人と小児のアトピー性皮膚炎の間では、皮膚ウイルス叢を構成するポリオーマウイルスの量的差異があることが示された。
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