研究課題/領域番号 |
17K10121
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
浅井 清文 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70212462)
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研究分担者 |
藤田 政隆 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10360637)
加藤 晋 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (90551250)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アクアポリン / 血液脳関門 / アストロサイト / 蛍光タンパク |
研究実績の概要 |
アストロサイトの活性化状態を検出する指標として、アクアポリン4(以下AQP4)を利用することとした。AQP4の細胞内局在をリアルタイムで観察するために、蛍光タンパクとの融合タンパクを遺伝子導入により発現させ観察することとした。ヒトAQP4cDNAの細胞外ループに相当する部分に、pH感受性で緑色を呈するpHluorinの遺伝子を挿入し、さらに、AQP4cDNAのC末端側に赤色を呈するmKateを挿入した発現ベクターを構築した。また、比較対象として、AQP4cDNAのC末端側にmKateのみを挿入した発現ベクターも準備した。さらにAQP4のアイソフォームによる局在の変化の可能性も考慮し、AQP4-M1(1番目のメチオニンからのアイソフォーム)とAQP4-M23(23番目のメチオニンからのアイソフォーム)の合計4種類のベクターを準備した。 これら発現ベクターを、ラットアストロサイトーマ細胞C6に遺伝子導入し、導入後から24時間ごとに96時間後まで、蛍光タンパクの発現と局在を観察した。pHluorinとmKateの両者を含む発現ベクターを遺伝子導入した場合、両者の蛍光が観察され、mKateのみの場合は、赤色のみ検出された。 pHluorinのpH感受性と原形質膜上の発現を確認するため、培養液ののpHを7.4からpH6.0に変化させたところ、pHluorinの蛍光が消退した。これによりpHluorinのpH感受性と、原形質膜上にあるタンパクが緑色蛍光を発している可能性が示唆された。今回準備した発現ベクターの構築で、今後の研究が遂行できる可能性が高いと思われた。ただ、遺伝子導入効率が悪く、改善の余地がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度中にアストロサイトでのAQP4タンパクの発現系を樹立し、血管内皮細胞との共培養系を開始する予定であったが、アストロサイトにおけるAQP4タンパクの発現系の樹立に時間がかかり、血管内皮細胞との共培養系の実験を開始することが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、アストロサイトにおけるAQP4の発現系の確立を優先して取り組む予定である。理由としては、血管内皮細胞との共培養系は、現在所属の研究室で既に他の研究で確立している手技であるので、アストロサイトのAQP4発現系が樹立できれば、その後の研究の遂行については、これまでの経験を生かすことが出来ると考えている。 AQP4の発現系は、現在のところ発現ベクターを用いているが、遺伝子導入効率がやや悪く、順調に進まないときは、安定発現株の樹立やウイルスベクターによる発現系も考慮する。
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