研究実績の概要 |
我々は、小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病の患者白血病細胞の遺伝子解析結果から、白血病細胞の増殖促進効果を有するJAK-STAT系の負の抑制因子である、LNK(SH2B3)の発現量が、予後と関連することを見出し、報告した(Yano M, Imamura T et al. BJH 2018).LNKの発現量が、白血病細胞の薬剤感受性に関係するか明らかにするために、Ba/F3-MPL細胞(TPO依存性に増殖するBa/F3細胞)にレトロウイルスでLNK(SH2B3)を導入し、LNK安定発現Ba/F3-MPO細胞(Ba/F3-LNK)を作成したところ、LNK非導入細胞に比して、PSLに高い感受性を有する事が明らかとなった。また、本細胞株において、LNKの強制発現に伴い、JAK-STAT系の活性の低下が誘導されているかリン酸化フロー法を用いて、確認した結果、LNKの強制発現により、JAK2およびSTAT5のリン酸化が抑制され、細胞増殖が抑えられることが確認できた。 2019年度は、白血病細胞株を用いて、JAK阻害剤およびSTAT5阻害剤存在下で、細胞株のPSL感受性が改善する事を明らかにし、JAK-STAT系の低分子化合物での抑制が白血病治療におけるステロイド感受性の解除に役立つことを明らかにした、一方、当初予定していた、患者白血病細胞を用いたPDXモデルの作成は困難であったため、in vitroでの実験結果についてまとめ、発表の予定である。
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