現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①:SPR-assayを用いて、FVIII A2ドメインとDEGR-APCの結合性を検討し、FVIII A2ドメインは約Kd 30nMでDEGR-APCと直接結合した。これまでの研究で、FVIII上のAPC結合部位はFXとoverlapしている可能性が示されており、FX結合部位は、アミノ酸残基400-409であると報告した(Takeyama et al., Thromb and Haemost. 118, 830-841,2018)。そこで、FVIII A2ドメインのアミノ酸残基400-409, 409-419, 420-429の配列から、同部位のペプチドを作成した。SPR-assayを用いて、3種類のペプチドとDEGR-APCの結合性を検討した。420-429ペプチドのみKd 約300 uMでDEGR-APCと結合することがわかった。これらの結果から、APCの結合部位がFVIII A2ドメイン上にも存在する事を初めて証明した。②:FVIIIアミノ酸残基S488, S489, R490およびK2239をアラニンに変異させたFVIII(S488A/S489A/R490A, K2239A, S488A/S489A/R490A/K2239Aの3つ)を作成した。本変異FVIIIにPSを濃度依存性に添加してXa生成試験を行った(PS非添加時のXa生成量を100%と設定)。wild typeはPSの濃度依存性にXa生成は約6%まで低下した(PS 500nM)。S488A/S489A/R490AのXa生成量は29%まで、K2239Aのそれは9%まで低下した。しかし、S488A/S489A/R490A/K2239AのXa生成量は26%までしか低下せず、S488A/S489A/R490A/K2239AはPSにより不活化されない、すなわちPSとの結合性が低下している可能性を示した。
|