研究実績の概要 |
HUVECsをFLOW CHAMBER内に播種したのちに層流、乱流のパターンで、3日間血流下培養を行った。また両方の血流パターンでHigh shear, Low shearの2種類を検討した。また、培養後にパラホルムアルデヒドで細胞を固定したのち、免疫染色を行 なった。細胞形態を評価する(bright fieldおよびphalloidin 染色)と同時にFVIII, VWFの細胞内に存在する量を得られた画像からintensityをパラメータとし て解析した。【結果-1】500-s1, 2500s-1, 7500s-1と検討を行った。これらはVWFやFVIIIに有意と思われる差を見ることができなかった。また乱流に関してはshearが上がると細胞がチャンバーから引き剥がされてしまい、検討するのが困難であった。【結果-2】前年度の結果から層流では細胞形態の変化が血流に沿っておきること、乱流では一定の方向性をみないこと、を引継ぎ、VWFやFVIIIの量を検討した。前年度はpreliminaryなデータを得ていたが本年度はその傾向を確認した。VWFは層流では増加、乱流では変化なし。乱流ではVWFは低下、FVIIIは増加という結果であった。【結果-3】細胞内だけではなく、細胞からVWFやFVIIIが放出されている可能性があるため、培養液中のVWF.FVIIIの濃度を一定条件で濃縮して測定した。FVIII、VWFはいずれも培養液中で測定感度未満であった。このため細胞からの放出はわずかにとどまると考えられた。【結果-4】さらに血管内皮細胞のこれらの変化が、血栓性に関連しているかどうかを検討するため、Tissue factorやNFkappaBを同様に免疫染色にて測定した。Tissue factorは層流では低下し、乱流で増加した。NFkappaBは層流で低下し、さらに乱流で低下した。NFkappaBが上昇すればTissue factorは上昇すると予想していたが、反する結果であったため、今後はこれらのメカニズムを検討していく予定である。
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