研究課題
凝固線溶波形解析(CFWA)の方法の確立と凝固線溶動態が把握できる画期的な方法を報告した。APTTのCa添加時に組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)を同時に添加すると凝固能のみならず、線溶機能評価ができる。線溶評価は、線溶開始時間、線溶ピーク値、総量と定量的な評価が可能である。線溶亢進するα2AP欠乏症では明らかなピークの上昇を確認した。この方法は凝固自動分析装置を用いて定量的に評価ができ、一般病院の検査室で評価ができ、汎用性の向上が期待できる。後天性凝固異常症の抗リン脂質抗体症候群の出血症状をきたすLAHPSと非出血であるLA陽性症例のCFWAが、LAHPSでは第II因子欠乏血漿と同レベルかそれ以下まで凝固能が障害されることをCFWAを用いて解析し報告した。出血症状が重篤な先天性血友病Aの患者症例を用いたCFWAについても報告した。また、新規血友病治療薬(FVIIIa代替製剤)のモニタリングに、凝固波形解析が有用であることを開発し報告した。本法は希釈APTT試薬とCa添加時に希釈したPTを混合することで、トロンビン生成試験と同レベルの組織因子/活性型第VII因子からスタートする細胞基盤凝固メカニズムを基に評価できる方法である。CFWAと同様に自動分析装置で評価ができ、汎用性が高い。これらの2つの方法で後天性凝固異常症や血栓症に対する抗凝固剤(ヘパリン、DOACSなど)の出血リスク評価方法として、有用かどうか検討中である。播種性血管内凝固症候群(DIC)の凝固線溶波形は線溶亢進あるいは抑制を評価できることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
所属が変更したが、後天性凝固異常症について、自動凝固分析装置が設置できたので前職と同様または発展的な研究を継続している。後天性凝固異常症のモデル血漿を作成し、現在も検討中である。
後天性凝固異常症のモデル血漿を作成し、凝固波形あるいは凝固線溶波形について検討している。本方法が患者病態を予測できる(出血傾向か血栓傾向)方法として活用できるように検討を進める。研究を遂行する上で予測に反する結果を呈する場合には研究協力者の野上恵嗣先生に相談する。また、研究計画について見直しをする。
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