後天性凝固異常症(ACD)は特定の凝固因子に対するインヒビターによって発症する。その病態解明について、凝固機能評価に関して研究を継続してきた。我々は、迅速検査法として、新しい凝固線溶波形解析を用いた出血性疾患の評価について、A novel simultaneous clot-fibrinolysis waveform analysis for assessing fibrin formation and clot lysis in haemorrhagic disorders.国内外で新たな解析方法として報告された。この方法は、APTTに外因的に組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA)を添加し、500秒以内に凝固と線溶能の両方をモニタリングできる画期的な方法である。各凝固因子欠乏血漿を用いた方法で、特徴的なパターンを呈することを明らかにした。また、線溶因子低下の場合にも特徴的な線溶波形を呈する。また、抗線溶療法であるトランサミン投与下では、顕著に線溶抑制効果を評価できた。これは、今までの臨床検査では、分からなかったが、あらたな機能評価法として、かつ、自動凝固分析装置を使用した方法として活用できる。また、それらの波形がなぜ、患者血漿の変化によって、特徴的なパターンを呈するのか、解明してく必要性が高いと考える。今後も簡便で汎用性の高い検査室で実施可能な凝固線溶機能評価法として広めていきたい。汎用性の高いスクリーニング検査法として広まると、早期診断や治療への貢献度が高いと考える。 また、血友病の止血モニタリング法として有用であった。出血性疾患のみならず、抗凝固療法のモニタリング法へ応用できるように、現在検討中である。 また、播種性血管内凝固症候群(DIC)などでも敗血症と血液腫瘍では全く異なるパターンを呈するため、今後も、詳細な解析によって、汎用性の高い有用なアッセイとなることを期待する。
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