研究課題/領域番号 |
17K10135
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
前馬 秀昭 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10419335)
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研究分担者 |
西村 良成 金沢大学, 附属病院, 講師 (50324116)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | GVHD / psoralen / UVA |
研究実績の概要 |
制御性樹状細胞は、免疫寛容誘導能を示す抗原提示細胞として、造血幹細胞移植や自己免疫疾患、アレルギー性疾患に対しての新規の細胞療法になりうる可能性を秘めている。我々は、HLAの壁を乗り越える安全な造血幹細胞移植の開発を研究目標としている。私達は、手段としてマウス骨髄細胞からGM-CSFおよび培養液にて大量の未成熟樹状細胞を作製し、その後、psoralen(200ng/ml)と紫外線(UVA 2J)を用いて、制御性樹状細胞(PUVA-DCs)に大量かつ安価に作成する技術を開発した。In vitroでは、MHC非依存性(ドナータイプ、サードパーティー共に)にTリンパ球に対して強力な抑制性の作用を示したが、マウスGVHD移植モデルにおいては、免疫寛容を保持する事ができなかった。原因としてPUVA-DCsが生体内で効率的に生着できていないことが考えられた。そのため、生体内投与後においても、十分に生存でき、かつ免疫寛容を保持するPUVA-DCsの新しい作成方法を探索する必要性が生じた。平成29年度の実験では細胞傷害性のあるUVA照射をどれまで下げれるか、UVA照射の設定(0、0.2、0.5、1、2 J)を探索した。Balb/cによるPUVA-DCsの作製においては、UVA照射0.2から1Jでは十分な免疫寛容を有してはなく、これまで通りの2Jの照射が必要であることが判明した。このことはUVA照射の設定変更によるPUVA-DCsの作成条件が困難である事を示しており、アポトーシス阻害剤の併用等の作成方法の検討する必要性が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UVA照射の減量によるPUVA-DCs作成方法が難しい事が判明したため、さらなる別のアプローチが必要となり、計画がやや遅れる事となった。
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今後の研究の推進方策 |
UVA照射がアポトーシスを誘導していると考えられ、アポトーシス阻害剤の併用によるPUVA-DCsの生存の延長、免疫寛容誘導能の保持の検討を行う。また最近の研究からマクロファージ等の貪食細胞は、死細胞を貪食、処理する事で、免疫調整能が変化する事が報告されている。このPUVA-DCs作成時においても、死細胞を貪食させる事で、免疫寛容誘導能が強化されるかどうか検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由 UVA照射設定において、低照射0.2-1.0Jにおいても十分な免疫寛容を誘導するPUVA-DCsの作成ができず、低照射のPUVA-DCsを用いた基礎的実験ができなかったため。 使用計画 アポトーシス阻害剤を用いたPUVA-DCsの作成や、PUVA-DCs作成時に貪食させる死細胞(脾細胞、骨髄細胞、胸腺)の死細胞に至らしめる条件設定(放射線照射、温熱、薬剤)等に用いる。
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