研究課題
制御性樹状細胞は、免疫寛容誘導能を示す抗原提示細胞として、造血幹細胞移植や自己免疫疾患、アレルギー性疾患に対しての新規の細胞療法になりうる可能性を秘めている。我々は、HLAの壁を乗り越える安全な造血幹細胞移植の開発を研究目標としている。私達は、手段としてマウス骨髄細胞からGM-CSFおよび培養液にて大量の未成熟樹状細胞を作製し、その後、psoralen(200ng/ml)と紫外線(UVA 2J)を用いて、制御性樹状細胞(PUVA-DCs)に大量かつ安価に作成する技術を開発した。In vitroでは、MHC非依存性(ドナータイプ、サードパーティー共に)にTリンパ球に対して強力な抑制性の作用を示したが、マウスGVHD移植モデルにおいては、免疫寛容を保持する事ができなかった。原因としてPUVA-DCsが生体内で効率的に生着できていないことが考えられた。そのため、生体内投与後においても、十分に生存でき、かつ免疫寛容を保持するPUVA-DCsの新しい作成方法を探索する必要性が生じた。平成29年度の実験では細胞傷害性のあるUVA照射をどれまで下げれるか、UVA照射の設定(0、0.2、0.5、1、2 J)を探索した。Balb/cによるPUVA-DCsの作製においては、UVA照射0.2から1Jでは十分な免疫寛容を有してはなく、これまで通りの2Jの照射が必要であることが判明した。平成30年度には、樹状細胞作製途中におけるday7およびday9にPUVA処理を行い、一部アポトーシスに陥る細胞を、樹状細胞作成中のday7および/もしくはday9に貪食させ免疫寛容誘導能を有するか検討を行ったが、免疫寛容誘導能を有していなかった.どのような細胞をPUVA処理して樹状細胞作製時のどの段階で貪食させるか新たなる検討する必要性が生じた。
3: やや遅れている
UVA照射量の調整もしくはPUVA処理した細胞の貪食では、これまで報告したPUVA-DCsの免疫寛容誘導能をこえる制御性樹状細胞の作製を行う事ができなかった。さらなる別のアプローチによる作製が必要となり計画がやや遅れる事になった.
PUVA処理を行う細胞を、マウス骨髄細胞、マウス脾臓細胞、マウス胸腺細胞にも行い、樹状細胞にそれらを貪食させる事で、PUVS-DCsと同様な免疫寛容誘導能を有する事ができるか検討を行う。またPUVA-DCs作製時にアポトーシス阻害剤を使用する事で長期に生存可能かつ免疫寛容誘導能が保持する事が可能な細胞が作製できるかどうか検討を行う。
理由:in vitro実験において免疫寛容誘導能を協力に有する制御性樹状細胞が従来のPUVA-DCs以外に紗育成できなかったため使用計画 アポトーシス阻害剤によるPUVA-DCsの細胞治療における生体内での生着の促進や、PUVA-DCs作製時に貪食させる死細胞(脾細胞、骨髄細胞、胸腺)の死細胞におたらしめる条件設定(放射線照射、薬剤)等に用いる。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Leukemia & Lymphoma
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