研究課題/領域番号 |
17K10138
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
田中 絵里子 杏林大学, 医学部, 助教 (80439827)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ネフローゼ症候群 / 巣状分節性糸球体硬化症 / 微小変化型 / RNAsequencing |
研究実績の概要 |
原発性巣状分節性糸球体硬化症(pFSGS)(もしくは特発性巣状分節性糸球体硬化症(idiopathic FSGS)は遺伝性や全身性疾患に伴うものを除外した巣状分節性糸球体硬化症で、進行性に腎機能が障害され小児期に発症する腎疾患の中で最も腎予後が悪い疾患の一つである。典型的には治療抵抗性のネフローゼ症候群を呈し、徐々に腎機能が低下し20 年で約70%が末期腎不全に進展する。一方、同じネフローゼ症候群を呈する微小変化型(MCD)は糸球体硬化は形成せず成人までに多くが自然軽快し、腎機能は保たれる。pFSGS、MCD ともにその病因はまだ解明されていないが、pFSGS は発症時に腎生検による光学顕微鏡検査でMCD と診断されることもあり、組織診断による初期鑑別が困難であるとともに、同じ疾患の異なる表現型である可能性が考えられている。本研究では、pFSGS およびMCD の患者腎組織パラフィン包埋検体を用いて次世代シーケンサー(HiSeq)によるRNA-seq 解析を行い、腎組織で惹起している遺伝子を同定比較し、相同点・相違点を解明することで表現型・予後の決定因子を規定し、pFSGS をMCD の表現型に変化させるための治療ターゲットとなる分子と経路を同定することを目的とする。解析を予定している検体数はpFSGSおよびMCDの初回診断時の腎生検検体を6例ずつ12検体、pFSGSの改善症例を3検体、MCDからFSGSへの移行例を3検体、計18検体である。現在、初回診断時のMCD検体6検体、pFSGS1検体、pFSGSの改善症例1検体を収集し、RNAseq解析の準備をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
条件に該当する症例が多くないため収集に時間を要している。発現遺伝子の比較のためには全検体を同時にRNAseq解析することが望ましいと考えられるため、検 体を収集してから解析に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
症例の確保が可能と考えられる施設に協力を依頼し、すでに2施設に承諾をいただいている。研究協力の体制と倫理委員会承認を含めた手続きが整い次第、条件に該当する症例の検体を収集する。収集が完了した時点でレーザーマイクロダイセクションによる腎糸球体の単離とtotalRNA抽出をおこない、RNAseqencingによる解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
条件に該当する検体の収集に時間を要しており、発現遺伝子の比較のためには全検体を同時にRNAseq解析することが望ましいと考えられるため、検体を収集してから次の解析に進む予定としている。このため当該年度におこなう予定であったRNAseqencing解析費用は次年度に使用することとした。
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