研究課題/領域番号 |
17K10144
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
香美 祥二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (00224337)
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研究分担者 |
漆原 真樹 徳島大学, 病院, 講師 (50403689)
玉置 俊晃 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (80179879) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / レニン・アンジオテンシン系 / ADAM17 / アンジオテンシノーゲン / ACE1 / ACE2 / Ang II / 内皮細胞障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性腎臓病(CKD)進展を左右する腎臓糸球体レニン・アンジオテンシン系(RAS)の活性化機構におけるa disintegrin and metalloproteinase (ADAM)17の役割を分子病態的に解明することにより、現存するRAS阻害薬では得られない腎糸球体に選択性の高いAng II作用(炎症・線維化)阻害手段の開発や新規CKDバイオマーカーを探索することである。糸球体細胞の培養系(糸球体内皮細胞 (GEC)、メサンギウム細胞(MC))にてADAM17の発現制御機構を検討するためにウェスタンブロット法にて発現の有無を検討した。両細胞共MW.80-100KDの特異性の高いバンドが検出され、各種サイトカインにより発現量が調整されていることが判明した。また小児進行性腎炎であるIgA腎症の患者では、免疫組織科学的手法にてADAM17の発現が増強することが示された。 特に管内増殖を主体とする内皮細胞障害が見られる部位で発現増加していた。我々はGECがアンジオテンシノーゲン(AGT)、ACE1、ACE2の発現量を変化させることで腎炎進展時の病態形成に関与していることを想定している。本年度、ACE2の切断放出(ACE2量の低下)に働くADAM17の糸球体発現増強がGECで確認されたことより、今後、RAS活性制御に関わるADAM17の発現調節機構の分析に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小児の慢性腎臓病患者における腎生検材料、尿を用いてADAM17の検出に成功した。特にRASの調節に重要と思われるGECやMCにおいてADAM17発現が増強していた。ADAM17発現は腎糸球体病変のレベルと相関し,臨床的にも尿量日量のレベルと相関していた。培養細胞でも同様に蛋白レベルでのADAM17の検出に成功し、発現調節機序の検討に入ることができた。動物腎炎モデルを用いた糸球体RASとADAM17発現との関係検索が課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
腎炎患者における糸球体ADAM17発現細胞の同定とRAS活性化機序への関与を動物腎炎モデルを用いて検討する。 腎炎患者における組織発現レベルと尿中ADAM17量との関係を検討することにより、新たな尿バイオマーカーとしての可能性や小児CKDの進展阻止戦略を考慮していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に納品となり,支払いが完了していないため。
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