先天性門脈体循環シャントは致死的な肺高血圧症や肝性脳症、肝臓腫瘍を引き起こす。進行性に重篤な合併症をきたすため、無症状時に早期にシャント血管閉鎖を行う必要がある。次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析を行い、その疾患責任遺伝子を同定することが本研究の目的である。 初年度は全エクソーム解析に先立ち、その表現型を解析するため当院の先天性門脈体循環シャント患者の臨床経過を詳細にまとめ、生命予後を左右する肺高血圧症を防ぐためには早期のシャント閉鎖が重要であることを報告した。新生児スクリーニングを契機とした先天性門脈体循環シャントの診断は半数に留まり、早期診断に有用なマーカーが存在しないことが早期治療介入を遅延させる大きな課題であることを確認した。 Ion Torrent Systemを用いて全エクソーム解析を施行した。全家系に共通する責任遺伝子の同定には至らなかったが、一部の類似した表現型を有する患者群に共通した遺伝子変異を同定することができた。
|