研究実績の概要 |
本研究は,新生児DJ症候群とRotor症候群を次世代高速シークエンサーとバイオインフォマティクスを用い,分子遺伝学的に診断する解析手法の確立を指向する.その上で,分子診断された疾患の遺伝子型と表現型の関係を明らかにし,病態を探索する研究である. 目的遺伝子(ABCC2,OATP1B1,OATP1B3)を含む新生児乳児胆汁うっ滞疾患との関連のある遺伝子61個搭載した胆汁うっ滞遺伝子パネルをデザインした.先行研究の陽性対照において新しいパネルが機能することを確認した.研究期間で124例の対象患者について,61遺伝子パネルを用いて解析を行った.このうち40例(32.3%)で分子遺伝学的診断が確定した.私たちの先行研究は18遺伝子パネルを用いた解析であったが,この時は25.7%(28/109例)の診断率であったことから,診断率の改善が認められた.新生児DJ症候群は9例(22.5%)で確認された.Rotor症候群は認めなかった.新生児DJ症候群患児の特徴的な臨床経過,肝臓病理所見,病原性変異をまとめて論文報告した(Togawa T, et al. Clinical, Pathologic, and Genetic Features of Neonatal Dubin-Johnson Syndrome: A Multicenter Study in Japan. The Journal of pediatrics. 2018;196:161-7 e1).
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